RallyCross2020/08/23

クリストファーソン、雨の世界RX開幕戦に勝利

(c)FIAWorldRallycross.com

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 2020年世界ラリークロス選手権がスウェーデンのホリエスで開幕、シリーズにカムバックした2度のワールドチャンピオンであるヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI)が22日土曜日に行われた第1戦で優勝を飾っている。

 新型コロナウイルスのパンデミックによって相次ぐイベントのキャンセルや延期にともない、今季の世界ラリークロス選手権はやっとスウェーデンのホリエスで今週末に開幕を迎えることになった。スウェーデン・ラウンドは土曜日に第1戦、日曜日が第2戦として行われるダブルヘッダー開催となり、それぞれ予選の3ヒートを走ったあと、セミファイナル、ファイナルで争われ、選手権ポイントもそれぞれ通常のイベントと同ポイントが与えられることになる。

 2017年と2018年に世界ラリークロス選手権チャンピオンに輝いているクリストファーソンは、当時のポロGTIスーパーカーで参戦、Q1とQ3 を制して順当に予選をトップで勝ち進み、セミファイナルでも他の寄せ付けない走りでファイナルのポールポジションを獲得することになった。

 スタートの直前になってグリッドにマシンが向かうことになってサーキットに豪雨が降ったため、各マシンともにタイヤをレインに変更するとともにサスペンションを微修正してスタートへと向かうことになる。雨は止み、あっという間に青空が広がり始めたが、コースのあちこちには大きな水たまりが生まれ、川が流れるようななかでスタートが切られることになった。

 インコースのクリストファーソンが素晴らしいスタートを決めて首位に立ち、フロントローからスタートしたKYBチームから世界ラリークロス選手権復帰戦に臨むマティアス・エクストローム(アウディS1)が2番手でそれに続くことになり、難しいウエットコンディションでのレースで安定した走りをみせた二人は最終ラップまでそのままのポジションをキープ、クリストファーソンがキャリア21勝目を飾り、エクストロームが2位でフィニッシュすることになった。

 昨年のチャンピオンであるティミー・ハンセン(プジョー208)はいいスタートを切ったかに見えたが、ややスタートで出遅れたエクストロームに前方をふさがれてしまい集団にのまれて1コーナーに進入したが、イン側にいたGCKビルシュタインのアントン・マルクルンド(ルノー・メガーヌ)に弾かれてスピン、最後方へと順位を落とすことになってしまった。

 マルクルンドはこの混乱のなかで3番手につけたままフィニッシュしたが、1周目にハンセンと接触したことで30秒のペナルティを受けて表彰台から陥落、ティモ・シャイダー(セアト・イビーザ)が3位でフィニッシュ、ALL-INKLチームにとっては記念すべき初の表彰台を達成することになった。また、2番グリッドからのジャンプアップを狙ったチームGRXタネコのニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)はスタートでのエンストによって4位に終わっている。

 2015年以来となるクルストファーソン・モータースポーツでの参戦という新体制でシーズンをスタートしたクリストファーソンにとっては、復帰戦での勝利はこれ以上ないお祝いとなった。

「2015年以来のカムバックを果たした僕の家族のチームにとっても、この日は非常にトリッキーな一日だったが、素晴らしい勝利になったよ」とクリストファーソンは語った。

「このように雨も降ったし様々なコンディションになったが、とてもクリーンなライバルたちが僕の回りにはいたよ。決勝でのスタートがそれを物語っている。それは決して簡単なことではないし、常に誰かが誰かを倒そうとしているものだ。今は、たくさんの速いドライバーがいるし、今年はトリッキーなシーズンになるだろうし、ハードワークしなければならない」

 エクストロームは、2週間前に参戦が決まったことで準備ができていなかったなかでの2位を喜びながらも、ドライのセッティングのままで雨のファイナルを走らなければならなかった不運を嘆いた。

「2週間前にここでレースをすることがわかったので、準備は完全なものだったとは言いがたいが。2位でフィニッシュできたことは夢にも思ってなかったよ。
ヨハンは良いマシンをもっているし、走りも素晴らしかった。僕らはできる限りのことをしてマシンを開発してきたが、完全なドライ・セッティングにしたところで大雨が降ったので、自分にはチャンスはないと思った。ドライだったらもっと接戦だっただろう。明日もがんばるよ」

 世界ラリークロス選手権第2戦は明日の日曜日にふたたびヘリエスで開催されることになっている。

 また、世界ラリークロス選手権のサポートカテゴリーとして史上初の国際的なEVラリークロスシリーズとなるProjekt Eもヘリエスで開幕。スウェーデン、ラトビア、ベルギー、ドイツの4ラウンドで争われるシリーズは、Projekt EのテクニカルパートナーであるSTARDによって開発された450kWの電動パワートレインを搭載したマシンで争われることになり、初戦には3台のフォード・フィエスタERXがエントリーしてきた。

 Projekt Eは2日間のシングルイベントとなるため、初日の予選では、ケン・ブロックがトップ、オーストリアのヘルマン・ノイバウアーがナタリー・バラットを抑えて2位につけている。

 シトロエンC3 ERXでヘリエスに参戦する予定だったマッズ・オストベルグは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いスタートをキャンセルしたことが発表されている。