ERC2021/07/25

クルニョーラとバッソがローマで激しい首位争い

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第3戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレは24日にレグ1を終え、ヒュンダイ・ラリーチーム・イタリーのアンドレア・クルニョーラ(ヒュンダイi20 R5)がジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアRally2エボ)との接戦を制してトップに立っている。

 ラリー・ディ・ローマ・カピターレは金曜日夜にローマ市街地で行われたオープニングステージ、カラカラACIローマで開幕したあと、土曜日にフィウッジに舞台を移して本格的に競技を開始した。

 フィウッジの西に位置するこの日のオープニングSSのロッカ・ディ・カーヴは朝から30度を超える猛暑のなかでスタート、予選でトップタイムを奪う速さをみせていたニコライ・グリアジン(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)は左コーナーのイン側にあった尖った石で左フロントタイヤをパンク、タイヤ交換によって2分もの遅れを喫するという波乱の幕開けとなってしまう。

 さらに続くSS2でもドラマは続いた。予選2番手につけていたラリー・チーム・スペインのニル・ソランス(シュコダ・ファビアRally2エボ)が崖下に落ちてリタイアになったほか、前週のラリー・エストニアでWRC2優勝を飾ったアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRally2エボ)も岩に乗り上げてサスペンションにダメージ、ここで20秒をロスして12位まで後退したあとのステージも彼はペースが上がらない。

 グリアジンをはじめ、優勝候補と目されていたドライバーが早くもノーチャンスとなるなかで、ラリーはクルニョーラとバッソという、イタリア選手権のライバル同士の戦いとなる。

 クルニョーラは、金曜夜のオープニングステージのカラカラACIローマを制して首位に立ったものの、その後方0.6秒差につけてピタリとライバルをマークしていたバッソは、土曜日のSS1を制してリードを奪うことになる。

 昨年、バッソを退けて初めてイタリアのチャンピオンになったクルニョーラはSS2でベストタイムを奪って首位を奪還するも、バッソもSS3、SS4で連続してベストタイムを奪って応戦、クルニョーラの1.7秒差に迫ってみせるも、ふたたびSS5でベストタイムを奪ったクルニョーラが6.5秒差へとリードを広げることに成功する。

 土曜日の最終ステージは、アフィーレ-ベレグラのテクニカルな7.34kmのステージとなるが、クルニョーラはここでミスしてタイヤをディッチに落としてあわやの瞬間に見舞われながらも、この日4つ目のベストタイムを奪ったバッソに5.4秒の差をつけて勝利をリードすることになった。

「このステージではバカなミスをしてしまって、タイムをロスしてしまったよ。序盤には苦労したけれど、セットアップはよくなってきたが、このようなミスはがっかりだよ」とクルニョーラは愚かなミスを悔やんでいる。バッソも困難な一日を終えて、勝利をまだ諦めていない。「難しい一日だったが、ここにいることができて嬉しいよ。今のところは2位だが、明日もプッシュしてどうなるか様子を見ることにするよ」

 先週のラリー・エストニアでWRC3を制覇した選手権リーダーのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 Rally2)は、金曜日はペースが上がらずに12番手と苦しんだが、わざわざフランスから運んでもらった旧スペックのダンパーがローマには合っていたらしく、土曜日はペースを上げることに成功している。それでも、彼は「もっと速く走れるはずだったが、セットアップで何かが足りなかったため、イタリア人ドライバーたちのペースに届かなかった」と語っている。

 地元のダミアーノ・デ・トマソ(シトロエンC3 Rally2)は、SS4でシュコダ・ラリーチーム・ハンガリーのノルベルト・ヘルツィグ(シュコダ・ファビアRally2エボ)を抜いて4位に浮上したが、二人はまだ3.8秒の僅差で争っている。さらに3.2秒差の6位にラリーチーム・スペインのエフレン・ヤレナ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が続いている。

 7位にはORLENチーム・シュコダ・ポーランドのミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRally2エボ)がつけているものの、0.7秒差にはCHLスポルトのヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)、さらに0.8秒差の9位でイタリア選手権ランキングトップのファビオ・アンドルフィ(シュコダ・ファビアRally2エボ)、0.4秒差の10位でヒュンダイ・ラリー・チーム・イタリーのウンベルト・スカンドラ(ヒュンダイi20 R5)が続く、大接戦となっている。

 シモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が11番手、チームMRFタイヤのクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20 R5)も12番手とペースが上がらない。また、クロアチア・ラリーの負傷のあと3カ月ぶりに競技に復帰した新井大輝(フォード・フィエスタRally2)もレグ1を30位で終えている。

 ERCジュニアではケン・トルン(フォード・フィエスタRally3)が6ステージすべてにおいてトップタイムを奪って、オスカー・ソルベルグ(フォード・フィエスタRally3)に45.8秒差をつけてリードを築いている。ERC3ジュニアはジャン-バティスト・フランセスキ(フォード・フィエスタRally4)が初日からのトップを守ってラリーをリードしている。

 ラリー・ディ・ローマ・カピターレの最終日は6SS/123.19 kmというラリー最長の一日となる。