WRC2020/08/21

ジャパン中止、入国制限解除の遅れで苦渋の決断

(c)Toyota

 ラリー・ジャパン実行委員会は、21日にオンライン記者会見を行い、ラリー・ジャパン2020を中止するに至った経緯と詳細について改めて説明することになった。

 11月19-22日に世界ラリー選手権最終戦として開催を予定していたラリー・ジャパンだが、新型コロナウイルスの長引く影響のためにわが国への入国制限の措置が緩和されないことから選手や関係者の入国ができないと判断、中止という苦渋の決断を余儀なくされている。

 ラリー・ジャパン実行委員会の高橋孝司会長は、会見の冒頭において新型コロナウイルスの影響によってラリー・ジャパン中止するという決断に至ったことについて本当に残念なことだと述べている。

「このような形でお知らせしなければならなかったことは我々にとっても残念だが、すでに先日発表したとおり、11月に世界ラリー選手権最終戦として開催を予定していたラリー・ジャパン2020を断念することになった。現在も世界で猛威をふるっていて、いまもなお収束の目処が立っていない新型コロナウイルスの影響によるものだ」

 高橋会長は、中止を判断の最大の理由は、海外からの選手や関係者の来日に目処がたたないことだと語っている。

「中止を判断の最大の理由は、海外からの選手や関係者の来日に目処がたたないことだった。F1日本GPが6月に中止を決定して以来、われわれも関係省庁にヒアリングを行い、さまざまなアプローチを試みてきたが、入国に係わる貿易政策は国の重要な政策になる。来年には東京オリンピックを控えているため政府としてはスポーツ競技に係わる選手や関係者の特別な入国制限解除についての措置についての検討をはじめているところだが、ラリー・ジャパンにしてもどれだけ人数を制限したところで300名を超える外国人を迎えなければならない。そこまで大規模なイベントに対応する措置を11月までに整えることは非常に困難であるとの判断があった」

 高橋会長は、ラリー・ジャパンのセレモニアルスタートが予定される11月19日から遡って3カ月前には開催の可否について判断しなければならないと決めて、関係者とさまざまな調整を試みてきたと明かしている。

「ジャパンが開幕から3カ月前という期限を念頭に、私たちはこれまでさまざまな調整を行いつつ、感染状況の推移を見守ってきた。しかし、これ以上判断を引き延ばすことは、物流の観点から、またWRCのカレンダー再構築の観点からも影響が大きすぎると判断した。参加を検討している国内外のエントラントや我々運営側にとっても経済的なロスが大きすぎることもある。こうした日本の状況はFIAやWRCプロモーターにも理解してもらい、このような最終決断に至ることになった」

「2018年1月にWRC招致委員会を発足させて、今日までスポンサーや関係自治体や地元住民有志のみなさん、そして何より多くのファンのみなさんのご支援をいただきながら開催準備を進めてきました。この場をお借りして御礼を申し上げるとともに、2021年の開催にむけて引き続きご支援を賜りたく何とぞよろしくお願いいたします」

 2021年のラリー・ジャパンのWRCカレンダー入りについてはすでに正式に発表されているが、ラリー・ジャパン運営事務局は11月11日から14日までの日程を第一希望として申請しており、正式な日程については他の国とのロジスティックスの観点から最終判断されることになるという。

 また、ラリー・ジャパンの代替えのイベントとして昨年開催されたセントラル・ラリー愛知・岐阜のような海外からマシンを運んで行うイベントについては今季はいまのところ予定はないという。