WRC2021/06/09

タナクの選手権は絶望的なのか?

(c)Hyundai

 ヒュンダイ・モータースポーツのオイット・タナクは、ラリー・イタリア・サルディニアで前戦に続いてまたもサスペンショントラブルでリタイアを経験したことでドライバーズ選手権での遅れは57ポイントへと拡大、2度目のタイトルは早くも困難になったようにも見える。それでも、彼は今後の選手権でも諦めずにベストを尽くし続けると語っている。

 タナクは速さという点では今季もナンバー1だ。サルディニアではリタイアになったにもかかわらず、優勝したセバスチャン・オジエを上回る6回のベストタイムを奪っており、これまでの5戦で3度のリタイアを経験しているのに、23回のベストタイムを奪っているオジエに次ぐ22回のベストタイムを記録している。

 選手権における57ポイント差は2戦分のフルポイントに匹敵するものであり、速さだけで遅れを挽回することは困難なようにも見えるが、シーズンはまだ7戦が残されているため、計算上ではまだ最大で210ポイントの獲得できるため、逆転タイトルの可能性がなくなったわけではない。

 タナクは土曜日にリタイアしたあと、一言も発することなくオルビアのホテルへと帰り、チーム代表のアンドレア・アダモは、彼に何があったのか話しかけないようにとメディアに忠告したほどだったが、タナクは最終日に驚くほど楽観的だった。

「死角になっていたため、(あの岩を)避けるのは難しかった」とタナクは語った。

「もちろん起きてしまったことは変えられないことだ。イライラしてもどうしようもないことだし、壊れたことは変えられないことだからね。このあともベストを尽くし、もちろん諦めずに努力していく」

「2戦とも勝利に自信を持っていたのを一気に失ってしまったわけで、確かに辛いことだが、一方でポジティブな点としては、スピードがあり、場所によってはコントロールできることを実感できたことは良かったと思う。そしてチームはこれまでずっとサポートしてくれ、今年になって僕たちは力強く前進を遂げてきた」

 しかし、タナクは、ヒュンダイがあまりにも壊れやすいと感じているかどうか、あるいはリードしている中でスピードを出しすぎたことが問題になったのではないかと聞かれ、明らかにいらだった様子をみせた。

「速くなれば、それによって少し壊れやすくなるものだと思う。ちょっとしたことだが、いつもこのようなことは起こる。以前のチームでもそうしたことを経験したが、ある瞬間にそれは同時に起きる」

「サファリがあり、その後にはマシンにとって非常に過酷なギリシャがある。このようなコンディションではヒュンダイが速いことはわかっているが、僕らにはもう少しだけ信頼性が必要だ。もちろん僕らはそれを乗り越えることができるはずだ」