WRC2020/12/02

フォルクスワーゲン、全モータースポーツ活動休止

(c)VW

 フォルクスワーゲンは、今シーズンをもってすべてのモータースポーツ活動を休止、フォルクスワーゲン・ポロGTI R5の生産も打ち切りにすることを決定した。

 フォルクスワーゲンはハイブリッドRally1カー時代が到来する2022年以降、世界ラリー選手権にふたたび帰ってくることが噂されていたが、この決定でその期待は完全に吹き飛ぶことになる。

 フォルクスワーゲンは2016年末に世界ラリー選手権から撤退したものの、2018年10月にはポロGTI R5のFIAホモロゲーションを取得し、カスタマーサービスを続けてきた。その後、同社はフルEVレーシングカーのフォルクスワーゲンID.Rでパイクスピークヒルクライムなどへ挑戦するなどEVによるモータースポーツ戦略を進めており、昨年末にはさらにその方針を加速させるために、内燃機関を使用したモータースポーツのプログラムへの支援をすべて終了することを決定していた。

 それでもラリーについては、ポロGTI R5がVWモータースポーツのカスタマー・スポーツ商品として重要な部分を占めていることから例外的に生産を継続、販売開始からこれまでの2年でおよそ60台の生産を行っていた。

 フォルクスワーゲンは声明の中で、今年の年末をもってポロGTI R5の生産を終了するとともに、フォルクスワーゲンのすべてのモータースポーツ活動を休止し、ハノーファーにあるフォルクスワーゲン・モータースポーツGmbHの169人すべてのスタッフがヴォルフスブルクにあるフォルクスワーゲンAGに新たな契約をオファーされたうえで統合されることになると明らかにしている。

「フォルクスワーゲン・ブランドは、持続可能なe-モビリティのリーディングプロバイダーへの道を歩んでいる。そのために、我々の力を結集し、フォルクスワーゲンのモータースポーツ活動を中止することにした」とフォルクスワーゲン技術開発部門のトップであるフランク・ウェルシュ取締役は説明した。

「フォルクスワーゲン・モータースポーツのスタッフは、フォルクスワーゲンAGに統合され、モータースポーツ部門の深い技術力とID.Rプロジェクトで得たノウハウは、今後も同社に残り、IDをベースにした更なる効率的なモデルの開発に貢献していく」

 フォルクスワーゲン・グループについては、アウディ・スポーツがフォーミュラEから撤退して2022年のダカール・ラリーにEVプロトマシンで参戦することを発表したばかりであり、グループ全体でのEVによるモータースポーツ戦略の再編を進めている。

 フォルクスワーゲンは2021年以降もカスタマー向けにポロGTI R5のスペアパーツ供給の継続性を確保すると説明している。