WRC2021/05/25

勝田がポルトガルで4位獲得!初表彰台に近づく

(c)Toyota

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシングWRCチャレンジプログラムで世界ラリー選手権に参戦する勝田貴元が、ラリー・デ・ポルトガルにおいて一時3位を走行した末にWRC自己最高位となる総合4位でフィニッシュ、初の表彰台に立つ日が近いことを期待させる輝きをみせた。

 シーズン最初のグラベルイベントとなったポルトガルに、勝田は過去3回出場してきたが、ヤリスWRCによる参戦は今回が初めてだった。また、今シーズンから全マニュファクチャラーに供給される、ピレリのグラベル用タイヤを履いてのラリーも今回が初めてだったため、路面に合ったコンパウンドのタイヤを選び、いかにタイヤマネジメントするかがこの週末の大きなポイントになった。

 ポルトガルのステージは粒子の細かい砂状のグラベルに覆われている路面が多く、その下には硬質な岩盤や石が隠れており、何台かのマシンが走った後や、同じステージを2回目に走行する際は、岩や石が下から現れトリッキーなコンディションとなった。

 開幕から3戦連続で総合6位に入っている勝田は、前戦のクロアチア・ラリーではベストタイムを2回記録するなど、スピードと安定性の両面で著しい進歩を遂げてきたが、今回のポルトガルでは走りのレベルをさらに1段階上げたかのようなパフォーマンスをみせることになった。

 勝田は初日、3回のトップ4タイムを記録、一時はトヨタ勢最上位となる、総合4位まで浮上し、さらに土曜日も好調を維持、チームメイトである7度の世界王者であるセバスチャン・オジエと何度も順位を入れ替えるなど、ハイレベルな戦いを展開し、表彰台圏内まで僅か1.5秒差の総合4位につけることになった。

 勝田は最終日、完走して経験を積むことを優先し、順位を落とすことなく最後まで走りきり、WRCキャリア自己最高順位となる総合4位でラリーをフィニッシュした。

 昨シーズンは、エストニアとイタリアでクラッシュするなど、ターマックでの速さに比べてグラベルでの成長は未知数ではあったが、勝田はいま、グラベルでも確かな手応えを感じているようだ。

「この週末はいい戦いができたと思います。難しいラリーで、どのステージも非常にトリッキーでした。土曜日の午後に1度だけ危ない場面がありましたが、大きな問題はなく乗り切ることができましたし、チームはいつものように素晴らしい仕事でクルマを直してくれました」

「今回は、決して楽な週末ではなかったですし、特に最終日は自分にとって厳しいものでしたが、それでもキャリア最高の結果で走り終えることができました。また、トップドライバーたちと一緒に戦えたことも嬉しく思います。以前と比べれば確実に一歩前進したと思いますが、まだまだ改善すべきことは多いので、正しい方向に進み続けるために、これからも努力し続けます」

 また、勝田のインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは次のようにコメントしている。

「今回タカがとても素晴らしい戦いをしてくれたことを、本当に嬉しく思う。今年、彼は急速に成長しているが、その姿を見るのは素晴らしいことだ」

「これまでのラリーでも彼は良い結果を残し、安定したタイムを記録してきたが、今回はさらに大きく前進した。全ステージでミスをすることなく安定して速く走り続け、土曜日は1日を通してセバスチャン(・オジエ)と戦ったが、その姿を見て私はとても嬉しくなった」

「今回、タカはとてもリラックスしていて、ドライビングを楽しみ、クルマのセットアップをあまり変えることなく、ひたすら運転に集中していた。また、今年の開幕戦からの好成績も自信につながり、スピードと安定性の両方が底上げされていった。そして今回、表彰台争いに加わり、総合4位でフィニッシュしたことで、彼の前途が有望であると改めて確信したよ」

 勝田の次戦は、6月3日から6日にかけてイタリアのサルディニア島で開催される第5戦ラリー・イタリア・サルディニアとなる。