WRC2020/02/18

勝田貴元、悪路スウェーデンを9位で走破

(c)Toyota

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 トヨタGAZOOレーシングWRCチャレンジプログラムの勝田貴元が、2月13-16日に開催された、世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンに、コドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦、雪不足により非常に難しい路面コンディションとなった戦いとなったラリーに勝田は初めてWRカーで挑み、多くの経験を積み総合9位で完走した。

 スウェーデンはシーズン唯一のフルスノーイベントであり、通常は雪やアイスに覆われた森林地帯の道で超高速バトルが繰り広げられるが、今年は暖かい日が続き、路面に雪と氷がまったくないステージも多くあったことから、ラリーの主催者は一部のステージを事前にキャンセルし、本来よりも大幅に短くなったルートでラリーは行なわれることになった。

 しかし、残されたステージの路面も雪やアイスが決して多いとはいえず、グラベルが完全に露出するセクションも少なくないため、スタッドタイヤのマネージメントが大きな鍵を握ることになった。

 勝田は、2018年にスウェーデンのWRC2カテゴリーで優勝したほか、昨年はヤリスWRCで臨んだフィンランド・ラリー選手権で優勝するなどスノーステージでの豊富な経験をもっている。しかし、今回のスウェーデンは勝田にとって初めて経験する難しい路面コンディションであり、今までとは違うドライビングスキルが求められた。

 勝田はトリッキーな路面に戸惑いながらも、安定したペースでステージを重ね、デイ1を総合9位で走破。デイ2のステージは、デイ1と完全に同じでしたが、早朝は雪が少し積もり、気温も高くなるなどした結果、路面コンディションは大きく変わることなった。

 そのデイ2のステージに、勝田は不利な1番手で出走。雪に覆われて滑りやすくなった路面に苦労しながらも、全体的にペースはデイ1よりも向上し、デイ2の最後に設けられたショートステージでは、非常にトリッキーなコンディションながら5番手タイムを記録した。そして、強い雨に見舞われた最終日のステージも堅実に走行。大きなミスをすることなく3日間を走り切り、総合9位でラリーを終えることになった。

「いつものスウェーデンと違い、今回は路面に雪や氷が少なく路面コンディションが頻繁に変わる、非常にトリッキーなラリーでした」と勝田はスウェーデンをふり返った。

「デイ1とデイ2でもコンディションは大きく違いましたが、クルマに良いフィーリングを感じることができたので、デイ2ではSSの出走順がトップだったにもかかわらず、タイムはかなり向上しました。走りを改善することが出来ましたし、トップの選手達との差も縮まったと思います」

「良いチームに恵まれ、素晴らしいドライバー達と自分の走行データを比較出来るので、どこでタイムを失い、どこを改善できるのか知ることが可能です。今回も多くを学びましたし、今後に向けて多くの改善点が見つかりました」

 インストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンは、勝田のパフォーマンスは以前より向上してきたと評している。

「スウェーデンでの我々とタカの目標は、スピードを上げ、できる限り速く走ることだったが、今回はコンディションが非常に悪く、ハイスピードで雪に覆われた道を得意とする彼の才能を発揮するのは困難だった。それでも、WRCトップクラスにおけるパフォーマンスは以前よりも向上し、最速ドライバー達との差は1kmあたり1秒以下となった。今回のイベントを経て、トップレベルで戦うためにタカは今後もハードワークを続ける」

 ヤリスWRCで今季のWRC 8戦に出場する勝田の次戦は、5月21日から24日にかけて開催される第5戦ラリー・デ・ポルトガルとなる。勝田は過去R5マシンでポルトガルに3回出場したが、WRカーでの参戦は初めてであり、WRCのグラベルイベントにWRカーで出場するのも初となる。