APRC2018/09/19

炭山・保井、史上初日本人組のAPRC王者

(c)CUSCO RACING

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 2018年9月14〜16日に開催された、2018年FIAアジア-パシフィック・ラリー選手権(APRC)第4戦ラリー北海道で、CUSCO RACINGのシュコダ・ファビアR5を駆った炭山裕矢・保井隆宏が総合優勝を果たし、既に前戦で確定していた保井のコドライバーズタイトルとともに、この勝利で炭山はAPRCドライバーズタイトルを獲得することになった。

 今年30周年を迎えたAPRCでは、これまでに世界選手権で2度の王者に輝いたカルロス・サインツなど数々の海外強豪ドライバーがタイトルを獲得してきた。日本人としては初代APRC王者を獲得した篠塚健次郎(1988年:三菱ギャランVR-4)をはじめ、藤本吉郎(1998年:トヨタ・カローラWRC)、田口勝彦(1999年、2010年:ともに三菱ランサーエボリューション)の3人が王者に輝いており、炭山は日本人4人目の王者としてその長い歴史に名を刻むこととなったが、今回の日本人のドライバーとコドライバーのコンビでのタイトル獲得は史上初の快挙となる。

 CUSCO RACINGは2006年からスポット参戦含め12 年間に渡りAPRCに継続参戦し、柳澤宏至とマイケル・ヤングが獲得したシリーズランキング2 位がこれまでの最上位でした。炭山は2008年にAPRCにデビューし、アジア地域ラウンドの獲得ポイントで勝者を決めるアジアカップでは、2010年、2012年、2014年と3度タイトルを獲得してきた。

 チームは昨年これまでのグループN車両から、ヨーロッパ選手権や世界選手権などで主流となっているグループR車両であるシュコダ・ファビアR5を、シーズン中盤から日本チームでは初めて選手権に投入。2戦のテスト参戦を経て2008年以来のフル参戦となった今年、炭山・保井組が開幕戦ニュージーランドで優勝、続く第2戦オーストラリア、第3戦マレーシアでも優勝し、タイトルを賭けて臨んだこの日本戦ではライバルの追随を許さず独走態勢で優勝。フルポイントでのタイトル獲得となった。

 2018年のAPRC次戦は10月20〜21日に中国浙江省龍游で開催されるラリー・チャイナで最終戦を迎える。

■プロフィール
炭山 裕矢(すみやま ゆうや)
今年8月までキャロッセR&Dで市販パーツの開発、生産管理、テストドライバーなどを16年に渡り務める。ドライバーとしては19歳でダートトライイアルを始め、2001年に三菱ランサーエボリューション6で2度目の全日本ダートライアル選手権チャンピオンを獲得すると、故・加勢裕二にその才能を見込まれキャロッセに入社。翌年からCUSCO RACINGより全日本ラリーに参戦する。2008年からはアジア-パシフィック・ラリーに参戦し海外ラリーの経験を重ね、2010年、2012年、2014年と3度のアジアチャンピオンを獲得。2013 年には1年間限定で12年ぶりにシリーズ復帰した全日本ダートトライアルで見事タイトルを獲得した。2016年からシトロエンDS3 R3MAX などのグループR車両や、キャロッセ・TRD 共同開発のヴィッツ4WD など日本人ドライバーとしていち早くグループN以外のマシンで国内ラリーに出場。今年のモントレー2018では映画『OVER DRIVE』に登場するヤリスをドライブし実際のラリーで優勝を飾った。2017 年から世界トップレベルのグループR 車両であるシュコダ・ファビアR5のハンドルを握り、今季のアジア-パシフィック・ラリー選手権では開幕からの4 連勝でドライバーズタイトルを決めるなど、これまで数々のタイトルを獲得している。

保井 隆宏(やすい たかひろ)
2004年からラリー活動を開始。地方選手権から徐々にステップアップし2006 年から全日本ラリー選手権に参戦。2009 年には勝田範彦のコドライバーとして9戦中5勝をマークしシリーズ2位を獲得する。2010年、番場 彬のコドライバーとしてCUSCO RACINGに参加し、2011年、2012年はアジア-パシフィック・ラリー選手権に6戦中5戦に参戦。番場のジュニアカップタイトル獲得に大きく貢献するとともに、自身も2WDカップでコドライバータイトルを獲得する。また、2012年には全日本ラリー選手権で三好秀昌のトヨタ86でコドライバーを務め、6 戦中4戦で表彰台を獲得する。2014年からは炭山とコンビを組み全日本ラリー選手権、アジア-パシフィック・ラリー選手権に出場。トータルマネジメント能力とドライバーさながらのマシンセッティングに関する知識で日本屈指のコドライバーとして活躍中。