Raid2020/12/01

アウディ、電動プロトマシンでダカール参戦へ

(c)Audi

 アウディは電動プロトタイプマシンとともに2022年にダカール・ラリーに初参戦する。

 フォーミュラEからの撤退とともにモータースポーツプログラムの大規模な再構築を発表したアウディは、2022年のダカール・ラリーに電動プロトタイプマシンを使用してファクトリーチームとして初めて参戦することを明らかにした。この新たな代替エネルギー・ドライブのコンセプトは、電気ドライブトレインと高電圧バッテリーおよび高効率エネルギーコンバーターを初めて組み合わせたものだ。

 ダカールの主催者であるASOは、環境に配慮した未来への取り組みに着手しており、アウディは「革新的なプロトタイプ」と定義するe-tronのSUVを参戦車両として開発する予定だ。

 先週、ASOは2030年からすべての車両の代替エネルギーによるドライブ技術に焦点を当てる意向を発表し、ダカールのディレクターであるデビッド・カステーラは「移行期間」の一部として、エリートカーとトラックは2026年から新しいレギュレーションにコミットすると語った。

 アウディは、フォルクスワーゲンAGグループの一員として多くのハイブリッドプログラムに携わっており、クロスカントリーラリーの未来を見据えている。

 AUDI AGの取締役会会長および技術開発・製品ラインの経営委員会メンバーであるマークス・デュースマンは、次のように語った。

「モータースポーツへの多面的な取り組みは、アウディの戦略において不可欠な部分であり、今後も継続していく」

「我々は、今後も国際的なモータースポーツのトップレベルにおいてブランドのスローガンである『Vorsprung durch Technik(テクノロジーを主導する)』を推進し続け、ロードカーの革新的な技術を開発していきたいと考えている。世界で最も過酷なラリーは、そのための完璧な舞台だ」

 ダカール・ラリーに代替エネルギーによるドライブコンセプトを採用したことで、アウディは今、最も過酷な状況に直面している。この車両は、強力な電気ドライブトレインによって駆動される。そのために必要なエネルギーは高電圧バッテリーから供給され、高効率のTFSIエンジンの形でエネルギーコンバーターを介して走行中に必要に応じて充電することができる。目標は、今後数年間で電気ドライブトレインとバッテリーの性能を恒久的に向上させることだ。このプロセスで得られた経験は、将来の電動化された市販モデルのさらなる開発に反映される。

 アウディは2014年の初シーズンからフォーミュラEで活躍し、2016年と2017年にはルーカス・ディ・グラッシとともにドライバーズタイトルを、2017年と2018年にはチームタイトルを獲得していたが、今季を最後にオール・エレクトリックカテゴリーから離れ、ダカールととともに世界耐久選手権でのスポーツカーへの復帰に注力するという。

 アウディはまだ技術チームやドライバーの詳細を明らかにしていないが、クロスカントリーラリーは「将来的にはファクトリーモータースポーツの先鋒になるだろう」と述べている。

 親会社であるフォルクスワーゲンAGはダカールで長い歴史を誇っており、2004年からレーストゥアレグで本格参戦し、2009年にはジニール・ド・ヴィエリエがVWに初優勝を果たしている。その後、VWは2010年にカルロス・サインツ、2011年にナッサー・アル‐アッティーヤが勝利し、またどちらの年も表彰台を独占し、ダカールで圧倒的な存在となった。