WRC2020/10/31

イープル主催者、WRCを開催できると証明できた

(c)Ypres Rally

 ベルギー初の世界ラリー選手権開催は幻となったが、イープル・ラリーを主催するクラブ・スペシャルステージ会長のアラン・ペナスは、今年のイベントに140台のエントリーがあったことを明かすとともに、ベルギーでWRCを開催できることをFIAやWRCプロモーターに対して証明できたと語り、可能であれば来年WRCを開催したいと今後の抱負を語った。

 イープル・ラリーの主催チームは、8月19日にWRCカレンダー入りが決まったあと、これまで2カ月半にわたってベルギーでのWRC初開催という夢を実現するために戦ってきた。今週にはラリーガイド2が発表され、世界が注目してきたスパ-フランコルシャンでのパワーステージの概要が明らかにされるなど、感染者の増加に伴って開催の危機が迫るなかでもイベントを存続させるべく必死の作業が中止決定の判断がされるぎりぎりまで行われてきた。

 新型コロナウイルスの感染者数が爆発的に増加しているなかでイープル・ラリーを開催することは地域にとっての健康と安全にとって適切ではないとして地元当局がキャンセルを決定、クラブ・スペシャルステージはこれを認めて30日、今年のイベントを中止するという決定に至ったと発表することになった。

 ペナスは、イープルの開催を実現させようとして努力してきた主催チームのボランティアたちを労うとともに、健康危機の中、短期間でWRC開催を準備したのは、このイベントがWRCのカレンダーにふさわしいことを証明するためでもあったと明かし、それを団結力で成し遂げたと語った。

「このように短い期間でWRCラウンドを開催することができることを証明してくれたボランティアの皆さんに大きな失望を与えてしまったが、私たちの努力と投資が無駄にならないことを願っている」とペナスは語った。

「私たちはFIAとWRCプロモーターに対して、WRCレベルでイープル・ラリーを開催できることを迅速な作業で証明できた。今回のキャンセルは避けられないものだったが、私たちはWRCの野望を継続している。このキャンセルが延期に過ぎないことを願っている。クラブ・スーパーステージは、この危機を団結力で乗り切った。来年、可能であれば最高レベルでイープル・ラリー・ベルギー2021を開催したいと考えている」

 イープルの主催チームには将来WRCを開催するための野心があってこれまで努力してきたというペナスのコメントを受けて、FIAラリーディレクターのイヴ・マトンは、イープル・ラリー・ベルギーを将来のWRCカレンダーに加えることを検討するにふさわしいと語った。

「主催者チームがこれだけの努力をしてくれていたことを知っているので、心底がっかりしているが、いまは公共の安全と公衆衛生が優先されなければならない。彼らのこれまでの仕事と努力は注目すべきものであり、ベルギーでのイベントを将来的にWRCカレンダーに含めることを検討するに値することを証明した」

 イープル・ラリーはいまのところ2021年のWRCカレンダーには含まれていないが、リザーブイベントとして登録されていることは大きな意味をもってくるかもしれない。来年の6月24〜27日に開催が予定されるサファリ・ラリー・ケニアがふたたびコロナウイルスの影響を受けた場合には、伝統的に6月末に開催されてきたイープル・ラリーがサファリに代わってWRCとして開催される可能性はきわめて高いと見るべきだ。