WRC2021/06/08

オジエ、タナクのリタイアも自身の勝利も予想外

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシングWRTのセバスチャン・オジエが、ラリー・イタリア・サルディニアにおいて、一番手という不利なポジションで出走したにもかかわらず、2015年以来となる4度目の勝利を獲得した。

 オジエほどサルディニアを一番手のポジションでスタートする難しさを知っているドライバーはいないだろう。2015年の世界ラリー選手権は選手権リーダーは初日と2日目を一番手でスタートすることがルールで決まっていたが、幸運にも初日に4人のリタイアしたドライバーが2日目に再出走したため、このような不可能とも思える状況のなかでオジエは奇跡的に勝利を飾っている。

 しかし、それ以降、2016年から昨年の2020年までの5年にわたってオジエは3度一番手で出走しながら一度も勝てなかった。そうした過去の苦い経験から、彼は先週末、サルディニアをフィニッシュしたあと、この週末勝利できることは予想していなかったとしみじみとふりかえっている。

「サルディニアで一番手出走で優勝するなんてことは滅多にないことだから、本当に素晴らしい気分だ。プレテストでいいマシンを仕上げることはできたが、このラリーでトップ争いができるとは予想もしていなかった。このようなドライコンディションで苦戦することはわかりきっていたからね」
 
 オジエが勝てなかったこの5年の間にティエリー・ヌーヴィルは一番手でスタートして優勝を飾ったドライバーになっていたが、2018年はスタート前夜に降った豪雨のためウェットコンディションのなかでのスタートだった。

 オジエは、サルディニアで初日を3位を終えたときにそれは最高の結果だったと語り、40秒も前を走っているオイット・タナクがリタイアすることはまったく予想外だったと語った。

「オイットは初日から別次元のスピードで走っていた。僕はスタート順位を補うためにリスクを負わなければならなかったが、それはエルフィンやティエリーと争って2日目は以降、できるだけいいポジションでスタートするためだった。初日の3位は十分に満足できる結果だったよ。しかし、2日目、オイットがトラブルに見舞われ、気がつけばトップに立っていた。それは予想外のことだった」

 左フロントのホイールがマシンから吹き飛び、一瞬にしてタナクのラリーは終わった。オジエは誰よりもタナクのリタイアに驚いていた。

「全くの予想外だったからね。オイットの唯一の敵は彼自身だと思っていた。何と言えばいいだろう。僕は彼と競っていなかった。ギャップが大きすぎたからね」

 オジエは、タナクはプッシュしすぎていたと思うかと聞かれ、こう答えた。

「わからない。何が起こったのかは見ていないからね。僕にはそれを判断することはできない。ただ、これだけの差があるのだから、彼にプレッシャーをかけることはできないと思っていた」

「タイトル争いのことがあるので、僕だったらこのような状況では、おそらくそれほどハードにプッシュしないだろうし、恐らく彼もそんなにプッシュせず、軽くドライブしていたのではないかと思う。でも結局のところ、朝から路面はラフだったからね」