WRC2021/04/26

オジエ、0.6秒という史上3番目の僅差で51勝目

(c)Toyota

 セバスチャン・オジエは、息をのむようなハイスピード対決となった最終ステージでエルフィン・エヴァンスを逆転、クロアチア・ラリーに勝利することになった。2人の差はわずか0.6秒。オジエは史上3番目の僅差で通算51回目の勝利を飾ることとなった。

 オジエは史上もっとも僅差の勝利記録も保持しており、それはいまのトヨタ代表であるヤリ-マティ・ラトバラを0.2秒差で破った2011年ヨルダン・ラリーにおける勝利だ。史上2番目の僅差は、2007年ニュージーランド・ラリーにおけるマーカス・グロンホルムによる0.3秒差の勝利であり、それに続く3番目の記録はこれまでは2017年アルゼンチン・ラリーと2018年ラリー・イタリア・サルディニアにおいてティエリー・ヌーヴィルが成し遂げた0.7秒差の勝利だ(ちなみに2017年のアルゼンチンの敗者はエヴァンス、2018年のサルディニアの敗者はオジエだ)。

 オジエは6.9秒をリードして迎えたクロアチアの最終日の朝、ロードセクションで一般車との接触事故に遭遇、右側のドアパネルとフロントフェンダーのエアロを引きちぎられたマシンでステージに挑まなければならなかった。2位につけていたエヴァンスは、オジエが問題を抱えた機会を逃さずに連続してベストタイムを奪って逆転でトップに浮上、3.9秒をリードして最終ステージをスタートしている。

 最終ステージのクムロヴェツはきわめて狭くて高速のローラーコースターを駆け抜けるような道をもち、ブラインド・クレストなど不意をつくようにいくつもの罠が数多く散りばめられおり、オジエもリヤを滑らせてあわやの瞬間に見舞われており、エヴァンスの最後のコーナーでのミスまで

 ステージエンドでエヴァンスの到着を待っていたオジエは、クレイジーな出来事が続いた週末を劇的な逆転勝利で終えたことに感情を高ぶらせていた。

「最終ステージをゴールしたとき、このタイムでは十分ではないと本当に思っていたんだ。スプリットでは非常にタイトだったし、最後の数メートルまでは難しいとさえ思っていた。たぶん、エルフィンの最後のコーナーのミスがこの勝利をもたらしたのだろう」

「パンクもあったし、もちろん今朝の問題(一般道での接触事故)もあり、本当にクレイジーな週末だった。まるでジェットコースターのようなアップダウンがあったので、今は非常にこみ上げてくるものが大きいよ。正直言って、まだラリーを走っていて良かった。このように勝つこと、そしてこのような喜びの感情のために、僕たちがこのスポーツをしてきたんだと言えるよ!」

 オジエは、ステージエンドであとからゴールを迎えたチームメイトのエヴァンスに近づき、あとわずかのところで勝利を彼の手からもぎとってしまったことをわびている。

「すまないと彼に言った。エルフィンはいつものように素晴らしい仕事をしてきたからだ。そしてフィニッシュでそのような小さなギャップだとしても、勝者は1人だけだ。今週末は彼がそうして勝つところだったが、このようなラリーになった。トヨタは素晴らしい仕事をしてくれたし、マシンも素晴らしかった。サービスに戻ってみんなと勝利を祝福するのが待ちきれないよ」