WRC2021/10/17

カミリー、WRC2今季初勝利にむけて大きく前進

(c)Citroen

(c)M-Sport

(c)RedBull Content Pool

 エリック・カミリー(シトロエンC3 Rally2)はラリー・デ・エスパーニャ土曜日のステージをクリーンに走り、WRC2で今季初勝利に向けて前進している。

 カミリーは金曜日の午後、選手権タイトル獲得を目指すマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)がパンクに見舞われて失速するとトップに浮上し、その後も順調にポジションを保っている。

 カミリーは土曜日、パンクによるリスクを減らすため、午後のレグを2本のスペアタタイヤを搭載して走行することを選択している。余分な重量が影響し、過酷なコースでのC3 Rally 2のハンドリングが変化は生じたものの、ステージタイムはそれでもほとんどがトップ3から外れることはなかった。

 終わってみればカミリーはライバルたちとのギャップを広げることに成功し、27.1秒差をつけてこの日を締めくくっている。

「喜べる結果だ」とカミリーは語っている。「2回目のループは、縁石などを避けるのに慎重にならざるを得なかったが、こうしてパンクすることなくここまでくることができた。そうやってリードを保っていくのは簡単ではなかったけど、明日もこのリードを維持していけるようにケアしていくよ」と彼は付け加えている。

 カミリーに最も迫っていたライバルであり続けたのがテーム・スニネン(ヒュンダイi20 N Rally2)だった。スニネンは、ステージを重ねるごとに今週末初めてドライブする新しいマシンに自信を深め、エル・モンメルでの走行では2回とも最速タイムを記録している。スニネンには数字の上ではまだ選手権の栄光を獲得できるチャンスは残されているが、それを可能にするためには今週末の勝利が必要となる。

 Mスポーツから参戦する22歳のエリック・ツァイス(フォード・フィエスタRally2)は今回のWRCデビュー戦ではショーを見せ続けている。素晴らしいペースを披露しながらも、スニネンを捕らえたい彼の望みは少しずつ薄れ始めており、スニネンから25.4秒差の3位となっている。

 オストベルグはそのさらに55.6秒後方の4位に位置している。サスペンションに修理不可の問題が発生し、上位へのカムバックの可能性は限りなく低い状況で彼のタイトルへのチャンスはさらに希薄といえるだろう。

 ショーン・ジョンストン(シトロエンC3 Rally2)はオストベルグからさらに2分54秒8遅れとなっており、ゲオルグ・リンナマエ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)がトップから6分02秒5差に終わっている。

 初日にヤリ・フットゥネン(ヒュンダイi20 N Rally2)を襲ったエンジンの問題は土曜日の朝に再び発生してしまう。彼は3つのステージをなんとか走り切ったあと、デイサービスの前のリグループでリタイアとなっている。

 ラリー・デ・エスパーニャのWRC3は、エミル・リンドホルム(シュコダ・ファビアRally2エボ)がトップに立ち、前戦ラリー・フィンランドに続く勝利まであと僅かのところまで迫っている。

 路面に掻き出されたルーズなグラベルによってドライバーたちが苦戦するなかでも、リンドホルムはスピードを緩める気配を見せなかった。金曜日に6ステージのうちの3ステージを制して14.9秒のリードを奪ったリンドホルムは、土曜日も4回のステージウィンを果たし、ライバルたちを大きく突き放した。

 リンドホルムは、2位のカイエタン・カイエタノヴィッチ(シュコダ・ファビアRally2エボ)に31.4秒のギャップを築いてサロウのサービスエリアに戻ってきた。

 リンドホルムは、すでに最大7つのラリーに参戦しているため、この週末はチャンピオンシップポイントを獲得できない。今回のラリーは、リータ・ハマライネンのコドライバーとして彼はエントリーしたが、実際のドライビングはリンドホルムが担当している。

「コドライビングは楽しいよ」とリンドホルムは冗談を言った。「でも、石が多くてトリッキーなステージが多い。気をつけなければならないが、僕たちはクラスをリードしているので、少しはリラックスできる」

 2位争いは、カイエタノヴィッチとペペ・ロペス(シュコダ・ファビアRally2エボ)との激しい一騎打ちになった。ロペスが0.3秒をリードして迎えた土曜日、2人は8秒以上離れることのない接戦となったが、最後のサロウのステージでカイエタノヴィッチがロペスより1.6秒前に出た。

 カイエタノヴィッチは、現在チャンピオンシップリーダーのヨハン・ロッセルからは15ポイント遅れているが、この週末に少しでも多くのチャンピオンシップポイントを獲得して最終戦のACIラリー・モンツァでタイトルを争うことになりそうだ。