ERC2020/12/19

グループNのためのFIAタイトル、ERCでも消滅へ

(c)ERC

 グループNのマシンは、2022年以降もFIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)に出場可能だが、選手権タイトルの対象外となる。

 現在、ERCのサポートカテゴリーであるERC2は、スバル・インプレッサWRX STIや三菱ランサーエボルーションといったグループNマシンを中心にアバルト124ラリーやアルピーヌA110ラリーなどグループR-GTマシンによって争われているが、2021年以降、新しいRally3マシンがこのカテゴリーの中心となり、2022年からはグループNマシンはタイトルを争うことが出来なくなる。

 グループNマシンは、1990年代から2012年までプロダクションカー世界ラリー選手権(PWRC)で世界選手権のタイトルが掛けられ、国際舞台や国内選手権の中心的な存在だった。しかし、少しずつグループRレギュレーションのマシンに取って代わられることになり、世界選手権ではWRC2のエントラントのなかにおけるグループNユーザーのためにFIAプロダクションカーカップのタイトルが与えられていたが、それも2015年をもって廃止されており、グループNマシンのタイトルがかかったWRCのサポートカテゴリーは完全に消滅している。

 ERCではグループNマシンを走らせるプライベーターのためにERC2タイトルをこれまで授与してきたが、2022年以降、ERC2タイトルは新たに登場するグループRally3マシンのみで争われることになり、グループNは完全にバトンを委ねることになる。

 グループRは10年以上前に導入されて以来、進化を遂げており、WRカー以下のマシンカテゴリーは4輪駆動のRally2(これまでのR5)、2輪駆動の Rally4(これまでのR2)、若手や経験の浅いドライバー向けのRally5(これまでのR1)に区分されていたが、新たにRally2とRally4の大きな差を埋めるべく安価で高いパフォーマンスをもつ新世代のグループNマシンともいうべきRally3が誕生、2021年1月には最初のRally3マシンであるMスポーツのフォード・フィエスタRally3がFIAホモロゲーションを取得する予定となっている。

 ERCの発表によると、「2021年まではERC2へのマシンの参戦資格は変わらず、グループN、RGT、Rally2キットのドライバーもポイントを獲得することができるが、2022年からはFIAの承認を得た上で、ERC2はRally3マシンのみポイント獲得可能となる予定」だという。

 ERC2は、これまで古いグループNマシンを所有するベテランのプライベーターのためのタイトルであり、プロダクションカーのための最後のタイトルとも言えるものだったが、WRCやERCの頂点を目指す新進気鋭のドライバーのための足がかりとなるカテゴリーへと生まれ変わることになる。

 ERC3は2022年以降もRally4とRally5による2輪駆動マシンのためのタイトルとして存続するが、これまでRally2マシンで争われてきた28歳以下の若手ドライバーのためのERC1ジュニア・カテゴリーは廃止され、2021年から新たにRally3マシンとピレリタイヤによるERCジュニアへと生まれ変わる予定だ。

 ERCジュニアの今後については、近日中に詳細が発表される予定だ。