RallyCross2020/08/31

グロンホルム、母国フィンランドWRXで優勝

(c)FIAWorldRallycross.com

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 世界ラリークロス選手権第4戦が30日にフィンランドのコウヴォラ・サーキットで開催され、地元のニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)が雨で滑りやすくなったコースでのバトルを制し、今季初勝利を飾ることになった。

 前日に行われた第3戦はドライコンディションでの戦いとなったが、ダブルヘッダー開催となる日曜日の第4戦は予選の途中から降り始めた雨によってトリッキーなコンディションとなるなか、土曜日の第3戦で予選からファイナルまでのすべてのレースを制したヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI)が速さを見せることになった。

 Q1とQ3に勝利して予選トップで、セミファイナル1に進出したクリストファーソンは悪化するコースコンディションのなかでも隙の内走りでマティアス・エクストローム(アウディS1)を押さえて、ファイナルのポールポジションを獲得、フロントローにはQ2を制して予選2番手で通過したグロンホルムが並ぶことになる。

 ウェット路面で素晴らしいスタートを決めたクリストファーソンは、グロンホルムを押さえ込んでトップで1コーナーへと進入するが、エイペックスを過ぎたあたりでややアウト側にふくらんでしまいコーナー出口でグロンホルムが首位に立つことになる。

 クリストファーソンは2位に落ちたとはいえ、この日を最速で勝ち上がってきただけに瞬く間にグロンホルムの背後にピタリとつけてプレッシャーをかける。2台はダウンヒルの先のタイトターンでは何度もバンパーとバンパーが接触するまでに接近したバトルを繰り広げるも、レコードラインを外すとマディな路面が待つため、クリストファーソンは抜くまでに至らず。ややペースの遅いグロンホルムに苛立つように彼は3ラップ目にジョーカーを選択することになる。

 これで2位にはエクストロームが浮上するも、彼もまた首位のグロンホルムのペースに押さえ込まれることになってしまい、ジョーカーを終えてコースに戻ったクリストファーソンがわずか1周もしないうちにエクストロームにピタリと続き、3台が0.7秒差にひしめく完全に団子状態で最終ラップを迎えることになる。

 首位のグロンホルムも2位のエクストロームもまだジョーカーを残しており、このまま3番手のポジションを維持していればクリストファーソンの勝機は高いかにも見えた。グロンホルムがややペースを上げてジョーカーに進入、コーナーを立ち上がってきたクリストファーソンがグロンホルムを捕らえるかに見えたが、彼はコースのアウト側にかき出されたグラベルに乗ってワイドになってしまう。

 彼はグロンホルムが首位のままコースに戻ることを許してしまったばかりか、グロンホルムの背後にぴたりと追従してジョーカーを終えたあとイン側をがっちり死守しているエクストロームに弾かれてコースオフ、さらに横をすり抜けるようにティムール・ティメルジャーノフ(ヒュンダイi20)にも抜かれてしまい4位まで順位を落とすことになってしまった。

 昨年の最終戦南ア戦以来の勝利を母国フィンランドで獲得することになったグロンホルムは、プレッシャーはあったがイン側をキープできれば勝てると信じていたと語った。

「ファイナルではタイトコーナーで後ろのドライバーにプッシュされることがわかっていたので、イン側のラインをキープし、ストレートではアクセルを踏むだけで十分だった。落ち着いて、ミスをしないようにするだけだった。もちろんプレッシャーは感じていたが、トップに立ったときは基本的にはレースをコントロールするだけだった。勝ててよかったよ!」とグロンホルムは勝利の喜びを語っている。

 チーム・ハンセンのティミー・ハンセン(プジョー208)は1周目にジョーカーを選んで5位に終わり、モンスターエナジーGCK RXカルテルのアンドレアス・バッケルド(ルノー・メガーヌ)が6位でのフィニッシュを果たしている。

 クリストファーソンは今季初めて表彰台を逃すことになってしまったが、選手権のトップをキープ、エクストロームが17ポイント差の2位、優勝したグロンホルムが35ポイント差の3位へ浮上することになった。

 また、世界RXデビュー戦となる土曜日の第3戦で衝撃的な速さで2位となったフィンランド王者のユハ・リトコネン(ヒュンダイi20)はセミファイナル1でコースリミット違反のペナルティを受けたために惜しくもファイナル進出を逃している。

 世界RXの次戦は、9月19-20日にラトビアのリガで開催される。