WRC2021/06/09

シトロエン・レーシングに15,000ユーロの罰金

(c)Citroen

 シトロエン・レーシングは、先週末のラリー・イタリア・サルディニアでWRC3で優勝を飾ったヨアン・ロッセルのシトロエンC3 Rally2のフロント・サスペンションメンバーが規定重量オーバーだったことから、15,000ユーロ(およそ200万円)の罰金を科せられた。

 C3 Rally2のフロント・サスペンションメンバーは、FIAホモロゲーション・フォームでは12,245gの重量で承認されたと規定しており、製造公差は+5% / -2%と定められているため最大重量は12,857.25gまでが許容範囲となる。しかし、ラリー後の車検でロッセルのマシンから外されたサスペンションメンバーの重量は12,954gと計測されたことをFIAテクニカルデリゲードは報告している。

 ロッセルのマシンをプリペアしているサンテロック・レーシングのチームマネージャー、ヴァンサン・デュシェは、スチュワードミーティングに召喚され、チームがこのマシンをシトロエン・レーシングから購入した2020年9月当時から装着されていた、オリジナルのフロントメンバーであり、それ以降、7戦のラリーに出場したあと、プリペアのメニューとしてパーツの防水性を保つための再塗装を複数回行ったと認めたが、その構造に何かの変更を加えていないことを明言している。

 シトロエン・レーシングのテクニカルアドバイザーを務めるダミアン・アルボニエはこのパーツに製造後に加工が追加されていないことを認めるとともに、新車装着時から重量がホモロゲーションの基準値を超えていたことを同意している。アルボニエによれば、シトロエン・レーシングは当該パーツを外部のサプライヤーに製造を委託し、納品前に品質管理を徹底させてきたが、カスタマーに納品する際や新しいマシンに組み付ける際には追加の品質管理を行っていなかったという。

 スチュワードは、製造者に義務付けられる品質管理のエラーだとしてシトロエン・レーシングに対して15,000ユーロの罰金を科すとともに、さらに2021年末までの間に他のWRCイベントで同様の違反が発生した場合、さらに同額の罰金を科すと発表している。

 また、スチュワードは車検の重量測定に計測されたスペアのフロントメンバーが12,706gだったと報告しており、こちらも許容範囲内ではあるが、かなり限界に近かったことも明らかになっている。

 さらに、スチュワードは、WRC2で優勝したマッズ・オストベルグのシトロエンC3 Rally2についても、ダッシュボードの重量がFIAホモロゲーション・フォームで規定された最低重量の4,000gを下回る3,813gだったことから調査を行っている。

 マシンのプリペアを行うタガイ・レーシングは、ダッシュボードのパーツの一部であるヒーターの吹き出し口がイベント前のテストで外れたと説明、ダッシュボードの下には、2本のT字型コネクターのエアウェイダクトが残され、また落下したパーツも車内のハンドバッグに保管されていたことをFIAテクニカルデリゲードも確認できたとして大きな違反に問うことなく、チームへの叱責処分を科している。