WRC2019/11/22

シトロエン撤退はマーケティング戦略の決定

(c)Citroen

 シトロエン・レーシングは世界ラリー選手権からの撤退について、その声明のなかでセバスチャン・オジエがチームを離脱する決定をしたことによるものだとして強調しているが、それはそんな単純な話ではない。

 シトロエン・レーシング、チーム代表のピエール・ブダールは、オジエの離脱はシトロエンの撤退を早めたことは確かだが、オジエが残留しても2022年からのハイブリッドによる世界ラリー選手権から撤退することはすでに決まっていたと語り、その決定に至った理由としてグループPSA によるシトロエン・ブランドのマーケティング戦略がその根底にあったと語った。

「シトロエンのようなブランドにとっては、選手権の状況がマーケティングの予想と合致していることを確実にしていくことも重要だ」

「我がブランドと製品の電化のために我々がどれほど力を入れていくことが必要となるのか、またこれらのクルマの売り上げを押し上げていくために必要とされるマーケティングを目の当りにした時、シトロエンのようなブランドにとって、そのことに集中しないというのは非常に難しいことであり、スポーツの分野が何も役割を果たせなければそれは本当に問題となる」

 ブダールは、世界ラリー選手権のカレンダーにPSAにとって魅力的な市場である中国が入らなかったことでラリープログラムの重要性について上層部を説得する大きな材料を欠いたことを認めた。

「我々の活動の主な目標の一つは、インターナショナルな市場を開拓していくことだ。インドはブランドにとってメジャーなプロジェクトとなるが、この方面ではラリーによってできることが何もなく、中国も同じ状況だ」

「そう、ブランドのマーケティングのために我々に何ができるかということを、CEOに対して説明しにいくとして、こうした綱目において何も答えが出せないということになれば、当然、あまり強い立場に断つことはできないわけだ。それが我々の提案に欠けてしまっていた部分だ」

 ブダール自身は、ハイブリッドWRCの規定に関するミーティングには積極的だったが、PSA上層部によってプジョーの世界耐久選手権プログラムが決まった時点では、シトロエンは2022年以降はWRCへの不参戦が決定していたと認めた。

「もちろん、PSAはいくつかのシナリオについてじっくりと検討した結果、WECでプジョーの活動を再開することを決めた。すでにDSがフォーミュラEに関わっており、3つ目のプログラムを立ち上げて同じ組織の中の3つのメインプログラムにおいて十分なレベルのパフォーマンスを発揮させられることはできなかった。だからプジョーに関する決定がなされた時、(PSAの中の)どこかで、シトロエンが2022年からのハイブリッドWRCへの参戦をしないという決定に至っていた」

 シトロエンに代わってプジョーがWRCに参戦する可能性が噂されたときもあったが、ブダールはそれが検討されたかどうかはわからないと答えている。

「そのようなシナリオとしてはあったかもしれない。でも(プジョーは)WECでいくことが決定したのは、このプログラムの方がプジョー側の期待に沿ったものだったからだ。プジョーによるこの決定についてコメントは控えたい、私はそのような立場にない」