WRC2019/11/21

シトロエンWRCから撤退、栄光の歴史に幕

(c)Citroen

 
 シトロエン・レーシングは20日、世界ラリー選手権からの撤退を正式に発表、ひとつの時代の幕引きを唐突に行うことになった。

 シトロエンはこれまでにセバスチャン・ローブとともに2004年から2012年までドライバーズタイトルを9回獲得、マニュファクチャラータイトルも8回獲得するなど黄金時代を築いていたが、その後はチームとしての勢いをじょじょに失い、今季もマニュファクチャラー選手権争いで3位にとどまることになった。

 シトロエンは2005年と2016年にも選手権への参戦を一時休止しているが、このときは来るべきシーズンのために新しいマシンを開発することが目的だったが、今回は復活の道は予定されていない。

 PSAモータースポーツ・ディレクターのジャン-マルク・フィノーは今週、ハイブリッドWRカー時代を迎える2022年以降は世界ラリー選手権に参戦しないことをグループPSA は決定したと述べており、今後は2022年から始まるプジョーによる世界耐久選手権(WEC)への参戦とDSブランドによるフォーミュラE参戦がPSAによる世界選手権プログラムになるため、今回の決定は事実上のシトロエンのWRC完全撤退を意味するものと考えられている。

 シトロエン・レーシングは20日、チームの公式ツイッターを通じて「セバスチャン・オジエがチームを離れる決定したことにともなって来季の参戦を中止する」という発表を行ったあと、同夜にシトロエンCEOのリンダ・ジャクソンが公式声明を発表、予定より早く撤退という決断に至った状況について説明を行っている。

「シトロエンが、予定より早めて2019年末でWRCプログラムから撤退するという決定は、セバスチャン・オジエがシトロエン・レーシングを離れることを選んだことにともなうものだ」

「もちろん、我々もこうした状況を望んではいなかったが、セバスチャンなしでの2020年シーズンを想像することはできなかった。シトロエン・レーシングの情熱とコミットメントに感謝したい。シトロエンのDNAの一部はラリーと密接に結びついており、WRCにおける102回の勝利を飾るとともに、8回のマニュファクチャラータイトルという史上最もタイトルをもつブランドであることを誇りに思う」

 なお、シトロエン・レーシングでこの日行われた撤退に関する説明会において、これまでWRC活動に関わってきたエンジニアやスタッフたちはグループPSAのプジョーとDSの新しいプロジェクトに席を移して腕を奮うチャンスが設けられると伝えられており、シトロエン・レーシングはカスタマーサポート部門を残して解体されることになると見られている。

 なお、シトロエンを離れるオジエは、トヨタGAZOOレーシングWRTへの来季の移籍が決定的となったと見られているが、いまのところトヨタからの正式発表は行われていない。