WRC2021/02/26

タナク、アークティックのシェイクダウンで最速

(c)Hyundai

(c)Toyota

 世界ラリー選手権(WRC)第2戦アークティック・ラリー・フィンランドのシェイクダウンが行われ、ヒュンダイ・モータースポーツのオイット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)が2分35.4秒の最速タイムを奪い、2回目の走行でスノーバンクでスタックしたティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が0.7秒差の2番手タイムで続くことになった。

 アークティック・ラリー・フィンランドのシェイクダウンは、金曜日の朝8時31分からロヴァニエミ近郊に設けられた5.69kmのヴェンニヴァーラのステージで行われた。スタート時点で気温−2度。予想外に暖かい気温のなかでスタートしたシェイクダウンの1回目の走行で、素晴らしい速さでトップタイムを奪ってみせたのはカッレ・ロヴァンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)だ。2分40.5秒の最速タイムを出したロヴァンペラに続き、9番手という後方のポジションからスタートしたクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC)が1.9秒差の2番手、タナクが2.5秒差の3番手で続くことになる。

 2回目のシェイクダウンではコースオフやスタックが続くなか、ブリーンがロヴァンペラを0.6秒上回るトップタイムをマーク、さらに3回目の走行でタナクがクリーンなラインでタイムを伸ばし、ブリーンのタイムを4.5秒も上回るタイムを叩き出してシェイクダウンの一番時計を獲得してみせた。

「トヨタと良い戦いができたらいいね。やるだけ尽くしてどうなるか様子をみよう」とタナクはトヨタとの戦いになることを予想している。

 タナクから0.7秒差の2番手タイムでシェイクダウンを終えたのはチームメイトのヌーヴィルだ。彼は2回目の走行では左コーナーでコースオフ、コドライバーのマルテイン・ウィダーゲとともにスコップで除雪を試みて脱出を試みたがまったく動けず、牽引車の助けを待つためステージは20分近く中断することになった。それでもヌーヴィルは幸いにもマシンにダメージはないことから3回目の走行を行い、この2番手のタイムを奪っている。

「非常にタイトな左コーナーのためにかなりの速さで入ってしまった。ここにはもたれかかることが出来るスノーバンクがなくなっていたので、新雪の中に滑り落ちてしまい動けなくなり、誰かが助けに来てくれるのを待たなければならなかった。このラリーには観客がいないので、雪の中でスタックしたら本当に難しくなるだろう」とヌーヴィルは語った。

 ヌーヴィルから3.7秒遅れの3番手にはトヨタ勢最速となった勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)とピエール-ルイ・ルーベ(ヒュンダイi20クーペWRC)が並ぶことになり、二人から0.1秒差でブリーンが5番手タイムとなっている。

 ロヴァンペラは1回目の走行で最速タイムを奪ったとはいえ、そのあとは静かなシェイクダウンとなった。彼は2回目の走行ではヌーヴィルのオフによってタイムを伸ばせず、3回目の走行でもWRC3のマシンがスタックする状況のなか、シェイクダウンのタイヤを本番に温存するかのようにペースダウン、結果的には1回目の走行が彼のベストとなり、5.1秒差の6番手タイムにとどまることになった。

 WRカー初参戦のオリヴァー・ソルベルグ(ヒュンダイi20クーペWRC)は4回の走行を行い、ロヴァンペラと同タイムで続き、ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)が8番手につけることになった。

 選手権上位のコースオープナーたちは、予想どおりに1回目の走行ではそろって路面掃除のために失速することになってしまったが、選手権リーダーとして一番手でスタートしたセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)は、むしろ思っていた以上にグリップがあったことを喜んでいた。「凍っていたので、予想以上にグリップがあった。本番のステージでもこのようなコンディションになればいいんだけどね」と彼はコメント、2回目以降はロヴァンペラ同様にペースを上げることに積極的ではなく9番手タイムにとどまることになった。

 また、2回目の走行でコースオフしかかったエルフィン・エヴァンス(トヨタ・ヤリスWRC)も12番手でシェイクダウンを切り上げている。

 アークティック・ラリー・フィンランドは、このあと現地時間15時8分(日本時間22時8分)からスタートするSS1サッリオヤルヴィ(31.05km)で開幕する。この週末でもっとも高速ステージであり、もっとも美しいステージになると言われるが、この日の2回目の走行となるSS2は陽が沈んで暗闇のなかで走行が行われることになる。

■シェイクダウン・タイム
1. O.タナク(ヒュンダイ)2m35.4s
2. T.ヌーヴィル(ヒュンダイ)2m36.1s(+0.7s)
3. 勝田貴元(トヨタ)2m39.8s(+4.4s)
4. P-L.ルーベ(ヒュンダイ)2m39.8s(+4.4s)
5. C.ブリーン(ヒュンダイ)2m39.9s(+4.5s)
6. K.ロヴァンペラ(トヨタ)2m40.5s(+5.1s)
7. O.ソルベルグ(ヒュンダイ)2m40.5s(+5.1s)
8. G.グリーンスミス(Mスポーツ・フォード)2m41/2s(+5.8s)
9. S.オジエ(トヨタ)2m41.3s(+5.9s)
10. T.スニネン(Mスポーツ・フォード)2m42.7s(+7.3s)
11. A.ミケルセン(シュコダ)2m45.0s(+9.6s)
12. E.エヴァンス(トヨタ)2m45.1s(+9.7s)