WRC2021/06/24

トヨタ、サファリを1-2-3態勢でスタート

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 2021年世界ラリー選手権(WRC)第6戦サファリ・ラリー・ケニアは、木曜日の午後にナイロビ郊外で行われたスーパーSSカサラニで開幕、セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)がトップタイムでラリーをリード、チームメイトのカッレ・ロヴァンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が0.3秒差の2番手タイム、エルフィン・エヴァンス(トヨタ・ヤリスWRC)が0.7秒差の3番手で続き、かつてキング・オブ・アフリカと称されたトヨタが1-2-3態勢でラリーをスタートした。

 19年ぶりにWRCとして帰ってきたサファリ・ラリーは、伝統に従ってケニアの首都ナイロビにあるKICC(ケニヤッタ国際会議場)で行われたセレモニアルスタートで開幕、ウフル・ケニアッタ大統領がスタートフラッグを振り下ろすなかで次々とスタートしたラリーカーは、ナイロビ郊外で行われたスーパーSSカサラニ(4.84km)へと向かって行った。

 2台併走によるスーパーSSカサラニは、ケニアでのWRC開催を待ち望んできた話題のドライバーたちの対戦で幕を開けることになった。

 ケニア選手権を争う地元のカール・ツンド(VWポロGTI R5)とオンカー・ライ(VWポロGTI R5)の対決からスタート、91歳という史上最高齢でのWRCスタートを迎えたソビエスワフ・ザサダ(フォード・フィエスタRally3)と孫のダニエル・クウィスト(フォード・フィエスタRally2)、ケニアを代表するドライバーだったアザル・アンワーの息子ハムザ(フォード・フィエスタRally3)とサファリ・ドライバーでもあったケニア・モータースポーツ連盟(KMSF)のフィニアス・キマティ会長の息子マクレー(フォード・フィエスタRally3)のジュニア対戦がそれに続くことになった。

 アドリアン・フールモー(フォード・フィエスタWRC)とオリヴァー・ソルベルグ(ヒュンダイi20クーペWRC)の対決はシェイクダウンでサスペンションを壊したソルベルグが果敢な走りで勝利、勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)とガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)の対決は接戦となり、0.5秒差で勝田が制して好スタートを切ることになった。

 残り3組について、主催者は選手権で争うヒュンダイとトヨタのドライバーを一人ずつ組み合わせる興味深いスタートオーダーを採用している。ロヴァンペラとダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)の対戦は、アンダーステアを出してワイドになったソルドに対してロヴァンペラが5.3秒差をつけて圧勝、エヴァンスとティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)の対戦も4.3秒差でエヴァンスの勝利、オジエとオイット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)という組み合わせもオジエが2.5秒差で勝利している。

 ここのフラットなコースは明日以降のサバンナのステージとは似たものではないが、シェイクダウンでもトップタイムを奪っているオジエは、明日にむけて順調な仕上がりを印象付けることになった。

「明日は最大のスタートになるだろう」とオジエは語った。「あれほどの観衆を見て本当に信じられないくらいすごいと思った。ここまで順調だが、本格的なラリーは明日になってからだ」

 エヴァンスから1.8秒差の3位にはタナク、彼の2.5秒後方、首位のオジエから5秒差の5番手でヌーヴィル、勝田が首位から5.6秒差の6番手、グリーンスミスが6.1秒差の7番手、ソルベルグは7.9秒差の8番手というオーダーで続き、コースオフしたソルドは10.5秒遅れの11番手とWRカー最後尾でのスタートとなっている。

 トップ3を占めたトヨタ勢に続き、ヒュンダイ最速ドライバーとなったタナクは、「このステージはかなりスリッピーだったのは確かだ、でもソフトタイヤを使わずに済んだのは良かった」と、ソフトタイヤを明日にむけてセーブする戦略だと語っている。

 この開幕ステージにむけたトヨタ勢のタイヤ選択はいずれもハード1本+ソフト4本というもの。それに対してヒュンダイ勢はハード4本+ソフト1本とまったく異なるチョイスをしており、ここではいずれもトヨタ・ドライバーがダスティな路面でソフトタイヤを味方にいずれもヒュンダイ・ドライバーを大差で破ってスタートすることにはなっている。

 しかし、明日からの3日間でドライバーに割り当てられたタイヤはハード28本に対してソフトは8本のみに制限されており、長く厳しい路面が待つケニアではハードが有利とも予想されるなかで、ヒュンダイのソフトの戦略が明日以降どう明暗を分けるか興味深い。

 このスーパーSSカサラニの後、クルーたちはナイロビ-ナクル・ロードをサービスパークがおかれるナイバシャ湖にむけて100kmを移動、ナイトホルトのあと明日の金曜日、ナイバシャ湖の南西にあるオセレンゴニ野生動物保護区内に設けられるチュイ・ロッジ・ステージから本格的な戦いがスタートする。