WORLDWIDE2020/07/01

ハンセンが史上初バーチャル開催のROCで優勝

(c)ROC

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 世界ラリークロス選手権王者のティミー・ハンセンが、レース・オブ・チャンピオンズのeスポーツイベントで勝利し、史上初のバーチャルチャンピオンに輝いた。このイベントには世界RX王者であるペター・ソルベルグやヨハン・クリストファーソンも参戦しており、新王者がかつての強敵を破ってタイトルを獲得することになった。

 モータースポーツ・ゲームズとの提携により開催された今回のeスポーツイベントは、現実のレース・オブ・チャンピオンズと同様の形式で行われた。F1、インディカー、ル・マン、世界ラリー選手権、ラリークロスなど主要なモータースポーツのトップドライバーたちが、同一のマシンで対決した。予選はグループごとのヒートでKTM X-BOWを使用して、グラベルとターマックが混在したグランカナリアのオリジナルコースや、リヤド・スタジアムのコース、ロンドンのウェンブリー・スタジアムの曲がりくねったコースなど、ROCの歴史の中で実際に使用したコースで対決することになった。

 予選は2018年に実際の世界ROCで使用されたリヤドのスタジアムサーキットを使用、現実のレースと同様にグループごとに順位決定戦で準決勝進出するドライバーを決定する方式で競われた。ハンセンはグループDにおいてWRC3レギュラーでもあるベニト・グエラを相手に最初のヒートで勝利を収め、2つめのヒートではROC王者でありDTM王者のルネ・ラストに敗れたが、レジェンド・アンド・チャンピオンズの準決勝に進出した。

 ハンセンは準決勝では、1992年から2003年までROCが使用していたグランカナリアのオフロードサーキットでペター・ソルベルグを撃破した。2周の準決勝でハンセンから3.5秒遅れてゴールしたソルベルグは、慎重になりすぎたと語った。

 そしてウェンブリー・スタジアムのサーキットで行われたレジェンド・アンド・チャンピオンズのファイナルで、ハンセンはもう1つの準決勝でクリストファーソンに勝利したラストと再び対戦、ラストはROCバギーで周回したが、スロットルのスピードが速すぎたため、最終コーナーで横並びになってスピンしてしまい、ハンセンが勝利を手にした。

 さらにハンセンは、得意とするグランカナリア・サーキットで行われたグランドファイナルでNASCAR K&Nのプロドライバーであるルーベン・ガルシアJrと対戦した。シム・チャンピオンズを制してハンセンと対戦したガルシアは、右コーナーでワイドになってしまい、ハンセンが1.5秒のリードを築いてROCバーチャルチャンピオンの栄冠を逃した。

「総合決勝のグランカナリア・サーキットは走った経験のあるホームアリーナだったので有利だった」とハンセンは語った。

「ラリークロスマシンに乗っている者として、このレースに招かれたことだけでも光栄だ。これは僕にとって大きな夢だった。子供の頃からずっとこのレースを見てきたし、有名な素晴らしい選手たちがここで競うのを見てきたんだ。もちろん、実際に現地でレースを走りたかったけれど、今年はこれが現実だ。いつかはそこで(勝利を)獲得するつもりだ。勝利できて最高の気分だよ」

 この勝利によってハンセンは、eスポーツ・プロで世界最高峰のシムレーサーの一人であるジェームズ・ボールドウィンとスーパーカー・ライトでグランカナリア周辺を舞台に対戦する機会を得たが、ここではボールドウィンが2秒差で勝利した。

 個人タイトルを賭けて行われたレースが終わったあとは、ペアによって対戦する国別対抗のバーチャル・ネーションズ・カップが行われた。ここではボールドウィンとハースF1ドライバーのロマン・グロージャンのオールスターチームがティミー・ハンセンとヨハン・クリストファーソンのスウェーデン・チームを破って貫禄の総合勝利を収めている。

 グロージャンとボールドウィンのオールスターチームは準決勝ではペター・ソルベルグと息子のオリヴァーを擁するノルウェーチームを破っている。ペターはボールドウィンに敗れ、18歳のオリヴァーはグロージャンに勝利したが、昨年の世界最速ゲーマーコンテストで優勝したボールドウィンにはさすがに勝てなかった。