ERC2019/07/22

バッソがラリー・ディ・ローマで19回目のERC優勝

(c)ERC

(c)ACI Sport

(c)ERC

 イタリア・ラリー選手権を併催するヨーロッパ・ラリー選手権第5戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレは21日に最終日を迎え、ローランsrlのジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアR5)が優勝、2位でフィニッシュしたシモーネ・カンペデッリが新しいフォード・フィエスタR5でのERCデビュー戦でポディウムを獲得するなど、トップ3をイタリア選手権のトップランナーたちが占めることになった。
 
 バッソはラリー・ディ・ローマの初日を終えて、2位のアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)に36.3秒差をつけてリード、最終日は昨年同様に二人の対決になることが期待されたが、ルクヤヌクは朝からペースが上がらず、オープニングSSでは7番手タイム、バッソのリードは40秒へと広がることになった。「マシンはどこへ行くかわからない。僕は慎重に走るしかない」と、ルクヤヌクは前日と同様にセットアップへの不満をこぼしている。

 続くSS8ではバッソがジャンクションでミスしたため、彼のリードは34.9秒へと減り、さらにハンドリングに苦しみながらもルクヤヌクがSS9、10と連続してバッソを上回り、二人の差は30.3秒へと縮まることになる。

 最終日の午後は、朝の4つのステージのループに加え、ローマ市内に戻って1.10kmのスーパースペシャルの2回の走行が残されるのみだ。ルクヤヌクはSS11でバッソとの差をふたたびじわりと削りとってついに27.8秒差に迫ることになったが、ここでイベントスチュワードから信じられない発表がもたらされる。

 スチュワードによれば、初日のTC3のあとのテクニカルゾーンにおいてルクヤヌクのC3 R5のホイールベースを測定した際に、左右のホイールベースともにホモロゲーションで申告されている2543mmを大きく上回っていることが報告され、誤差1%で認められる上限の2568mmを2mm上回っていたことから1分のペナルティを課すことになったという。だが、ルクヤヌクが所属するチームは納得しない。「ペナルティはチームの責任だが、エンジニアは同意していない。ラリー前の我々の計測では左右ともに2565mmと記録されているからね。どのような計測を検査員が行ったのかわからないが、決定ははっきり言ってアンハッピーだよ」とサンテロックチームのマネージャーであるヴィンセント・ドゥシエは不満を述べている。

 いずれにしてもこれでSS11を終えた段階でルクヤヌクは首位のバッソから1分27.8秒差の3位へと後退、2位へと繰り上がったカンペデッリの43.8秒後方へとポジションを下げることになる。

 44秒のリードを手にしたバッソはSS13でふたたびジャンクションでミスを犯してタイムを大きくロスすることになったが、最終的に53.3秒差をつけてラリー・ディ・ローマに優勝することになった。

「僕らはローマで勝利するためにステージに集中してきた。難しいラリーだっただけに本当にうれしいよ。コドライバーとチームに感謝したい」とバッソは最終ステージにゴールで語っている。

 いっぽう、新しいフィエスタR5 Mk2でのERCデビュー戦に挑んだカンペデッリはマシンのセッティングに苦しんだスタートだったことを認めたが、初日の朝の10位から2位まで順位を上げてフィニッシュできたことに満足している。

「スタートしたときは、セットアップとタイヤに苦しんできたが、何度もセッティングを見直して、いまはどうにかライバルに迫ることができるレベルになった。新しいマシンでのデビューという重責があったが、良い仕事が出来たことに満足だよ」

 イタリア・ターマック・チャンピオンのアンドレア・クルニョーラ(シュコダ・ファビアR5)は初日のパンクが悔やまれる速さをみせて最終日も追い上げた。彼はパンクに見舞われて11位まで後退した初日のSS3とこの日の朝に0.9秒差でカンペデッリにベストタイムを譲ったSS7を除き、16ステージのうち14ステージを制する速さをみせることになり、ローマ市街地の短い最終ステージで見事にルクヤヌクを2.7秒差で逆転して3位ポディウムを獲得している。

 試練に耐えたルクヤヌクは最終的には4位に終わったものの、これまで選手権をリードしてきたポーランドのウーカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)が初日の最終ステージでクラッシュしたため新しい選手権リーダーに立つことになった。
 
 ACCRチェコ・ラリーチームのフィリップ・マルシェ(シュコダ・ファビアR5)が先週のラリー・ボヘミアでのクラッシュによる影響を感じさせない走りで総合5位、ERC1ジュニア選手権での優勝を果たして選手権タイトルの可能性を残しており、総合6位で続いたクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)がERC1ジュニア選手権リーダーを維持することに成功している。

 また、ERC挑戦3戦目を迎えたチームSTARDの新井大輝(シトロエンC3 R5)は初日のパンクで大きく遅れて最終的には総合12位、ERC1ジュニア選手権では1つポジションを上げて4位でのゴールを迎えている。「本当にチャレンジングな週末だったね。でも、僕らは多くのセットアップのオプションとタイヤを試し、多く有益な情報を手に入れることができたし、ターマックにおけるドライビングスタイルを改善することもできた」と新井は語っている。

 ERC3ジュニア選手権はエストニア・オートスポーツ連盟がサポートするケン・トルン(フォード・フィエスタR2T)がラトビア、ポーランドに続いて3連勝を達成。また、ERC2選手権とともにフィアット124 アバルトRGTによるアバルト・ラリーカップは初日にアンドレア・ヌチータがクラッシュしたため、ポーランドのダリウス・ポロンスキーが優勝している。