WRC2020/08/30

ヒュンダイ、エストニアでシーズン反撃を狙う

(c)Hyundai

 世界ラリー選手権は半年間の休止期間を経たあと今週のラリー・エストニアで再開されることになっており、ヒュンダイ・モータースポーツは、シーズンの第4ラウンドとなるエストニアに、ティエリー・ヌーヴィル、オイット・タナク、クレイグ・ブリーンによる3台体制のヒュンダイi20クーペWRCで参戦、シーズンの出遅れをここで挽回する計画だ。

 ヒュンダイは今季、モンテカルロではタナクが大きなクラッシュでリタイアするなかヌーヴィルで勝利とともにシーズンをスタート、スウェーデンとメキシコではタナクが連続で2位表彰台を獲得したが、メキシコではヌーヴィルとダニエル・ソルドがトラブルに終わるなど、序盤の3ラウンドでは入り混じった結果に終わっており、マニュファクチャラーズ選手権をリードするトヨタから21ポイント差の2位とやや引き離された状況にある。

 ドライバーズ選手権で3位につけるヌーヴィルは2012年にエストニアに参戦した経験を持ち、もっとも豊富な出場経験をもつ地元出身のタナクは2018年と2019年にはエストニアで優勝を飾っている。また、ブリーンは2月のラリー・スウェーデンに参加して以来、今季2度目のWRC参戦となるが、過去4回エストニアのイベントに参戦していることから道を熟知している。

 バルチック地方最大のモータースポーツイベントと言われるラリー・エストニアは、フィンランドに代わってカレンダー上で最速のラリーとなる。スムーズでテクニカルなグラベル路にはジャンプやクレストが多く、ペースノートの正確さが求められる。その中でも最も象徴的なのが、9.60kmのオテパー・ステージのアラキュラのジャンプだ。

 ラリーは金曜日のセレモニアルスタートとタルトゥのステージ(1.28km)を皮切りに、土曜日は10ステージでラリーの半分以上の距離を走る。日曜日には、コンパクトなスケジュールで3つのステージが各2回ずつ行われ、最後はパワーステージで締めくくられる、17SS/232.64kmというショートフォーマットでの開催となる。

 世界的なパンデミックの影響で国際的なモータースポーツがストップしてしまったあと、ヒュンダイはチャンピオンシップの防衛を再開すべく、エストニアのグラベルステージでの反撃に向けて準備を整えてきた。ヒュンダイの3人のドライバーは全員、フィンランドとエストニアでテストを行っており、その中にはタナクとヌーヴィルのロウナ・エースティ・ラリーへの参戦も含まれている。

 チーム代表のアンドレア・アダモは次のように語った。

「長い間離れていたWRCのイベントに戻ってこられたことは、特別な瞬間だ。最後にメキシコで走った時の状況とは明らかに違う。誰にとっても妥当な方法で物事が推移し、ラリー・エストニアで見られるであろう戦いを皆で楽しめることを願っている。他の人たちと同じように、この期間に、以前に足りなかった部分を追いつき、改善しようと努力してきた。今からシーズン終了までのラリーを楽しみ、最大限に活用して、何が起こるかを見たいと思う」