WRC2022/08/18

ピレリ、イープルは汚れたターマック攻略が鍵に

(c)Pirelli

 2022年の世界ラリー選手権は、グラベルでの5連戦を終えて今週末のイープル・ラリー・ベルギーでターマックの戦いに戻る。ピレリは、イープルのメインタイヤとして昨年のソフトコンパウンドから今季はハードコンパウンドに変更してノミネートしているが、路面がドライになるのか、湿ったコンディションになるのか例年予測がつかないことから、昨年同様にオプションの本数もいつも以上に多く用意される。

 イープル・ラリーが行われるフランダース地方の道路は、狭く滑りやすいターマックをもち、コーナリングの後、かき出された泥や砂、さらには小石が道路にかき出され、いっそう危険な状態になる。さらにベルギーは雨の多い国であるため、雨天時のコンディションは非常に厳しくなる。

 ドライバーは、グラベルノートクルー(ルートノートクルー)や天気の変化を監視するメテオからの最新情報を頼りにタイヤを選択することになるが、コーナーごとにかき出された土は乾いていたり濡れていたり、ぬかるんだ泥が全面を覆っていたり、ライン一本外せないほど小さな石や砂に覆われていたりと、ほぼ全てのジャンクションで路面は少しずつ異なるため、ドライバーたちはその攻略に頭を悩ますことになるだろう。

 イープルは今年も8月中旬の真夏に開催されるため気温は高く、最も磨耗の激しい路面や最長のステージに適したハードコンパウンドのP Zero RA WRC HAをファーストチョイスのメインタイヤとしてノミネートした。滑りやすく濡れた路面用にはソフトコンパウンドのP Zero RA WRC SAがオプションとして用意されている。また、激しい雨によるフルウェットのコンディションのためにチントゥラートRWBがオプションとして選択可能となる。

 ピレリがベルギーにおいてRally1カーに供給するタイヤは750本。各ドライバーには、ハードのP Zero RA WRC HAが28本、ソフトのP Zero RA WRC SAが22本、チントゥラートRWBが12本割り当てられ、そのうち28本のタイヤを装着することができる。この数字にはシェイクダウンのための4本も含まれるが、コンパウンドは各クルーが自由に選択することができる。そのため、雨の週末になってもソフトを選択すれば、週末に最大で26本のソフトタイヤを使用することが可能となる。

 ピレリのラリー・アクティビティ・マネージャー、テレンツィオ・テストーニは次のようにコメントしている。

「ベルギーのラリーは天候が予測しにくく、コンディションも様々なので、チームには戦略やタイヤ選択の可能性をもっている。アスファルトの路面がどんどん汚れていくので、2回目の走行のステージでコンディションがかなり悪化することが予想される。また、世界中のサイクリストが知っている石畳も、いくつかのステージでは、特にウェットコンディションや湿ったコンディションで、さらなる試練となる。また、激しいブレーキングを伴う急なコーナーもあり、タイヤには大きな負担がかかる」

 また、ピレリは他の4WDカテゴリーのために2300本のタイヤを供給しており、シェイクダウンを含めて1台あたり最大26本まで使用することができる。各クルーへの割り当ては、ハードのP Zero RA5が26本、ソフトのP Zero RA7+が18本、フルウェットのチントゥラートRWB/RW1が12本となる。