WRC2024/05/07

ピレリ、スコーピオンKX WRCの進化版を投入

(c)Pirelli

 性能はそのままに、より耐久性に優れ、より高強度を実現する構造へと一新したピレリのWRCグラベルタイヤ、スコーピオンKX WRCが、今シーズン2回目のグラベルイベントであるラリー・デ・ポルトガルから投入される。

 今回のアップデートは、WRCタイヤの継続的な進化プログラムに沿ったものだ。Rally1マシンのために設計された新しいスコーピオンKX WRCの記号は、従来のSA(ソフトコンパウンド)とHA(ハードコンパウンド)から、SBとHBに変更された。

 この新しいタイヤは、ピレリが最高レベルのチャンピオンシップで2021年以来収集してきたデータを特に活用したもので、サルディニアとポルトガル、つまり今シーズンのラウンドの中でも最も困難な地形でテストされた。

 ポルトガルの主な課題は、高速かつテクニカルなグラベル路で、最初はソフトな砂地でグリップが悪く、最初の走行が終わると鋭利な石のある岩場が出現するため、後方からスタートするドライバーにとっては困難を伴う可能性があること、ステージ上に深いわだちができる可能性があり、天候は未知数で、雨が降れば路面が滑りやすく泥沼になる可能性があること、などだ。これらの理由から、ポルトガルでは、最もスリッパリーなコンディションでもグリップを発揮し、性能、耐久性、強度のバランスが取れたソフトコンパウンドのスコーピオンKX WRC SBがプライムタイヤとしてメインタイヤに選ばれた。また、より摩耗の激しい路面やロングステージに最適なハードコンパウンドのスコーピオンKX WRC HBもオプションとして用意されている。

 ポルトガルのラリーウィーク(シェイクダウンを含む)で使用できる最大タイヤ数は、Rally1カーは28本となる。レギュレーションでは、プライムタイヤのソフトが28本、オプションタイヤのハードが8本が割り当てられる。各ドライバーはシェイクダウンのまえにFIAに通知することでオプションを12本まで増やすことが可能となるが、その場合はプライムタイヤの割り当てが自動的に4本減ることになる。

 ピレリのアクティビティ・マネージャーを務めるテレンツィオ・テストーニは次のようにコメントした。

「ERCをはじめとして我々が参加するすべてのカテゴリーや選手権において、WRCは重要な開発プラットフォームだ。ポルトガルは、カレンダーの中で最も過酷なイベントのひとつであり、それゆえ、我々に重要な発見をもたらしてくれる素晴らしい実験場となるだろう。チームはすでに、前モデルよりも頑丈になった新製品に満足を示しており、それ自体がドライバーに非常に好評であることを証明している。ワーキングレンジと性能は変わっていないため、特別な学習プロセスは必要としない」

 Rally2マシン向けのスコーピオンのハードコンパウンドも、Rally1で導入されたものと同様の進化を遂げている。

 また、ポルトガルの他のカテゴリーの使用タイヤは、Rally2のマシンはスコーピオンK6B(ソフト)と新しいK4C(ハード)、Rally3はK6A(ソフト)とK4A(ハード)となる。これらのカテゴリーにはプライムタイヤであるソフトが26本とオプションのハード8本が割り当てられるが、オプションタイヤを12本まで選択可能で、その場合プライムタイヤは4本減る。使用できる最大タイヤ数は26本となる。