WRC2023/05/31

ピレリ、落とし穴を甘く見ないことが重要

(c)Pirelli


 今季のラリー・イタリア・サルディニアは、20回目の開催を迎えるメモリアル記念として49.90kmの最長ステージをルートに採用しており、ピレリは荒れた路面や長いステージで見せた耐久性が評価されるハードタイヤのスコーピオンHAをメインタイヤとしてノミネートした。

 サルディニア島北西部の路面は、砂地や柔らかいグラベルがベースとなるが、とくに2回目の走行では険しい岩だらけの固い路面が露出することになり、過酷なコンディションのなかでタイヤの耐久性が試されることになる。

 さらに今年のサルディニアは、金曜日に2回の走行が予定されるおよそ50kmのモンテ・レルノのモンスターステージがなんといっても最大の注目となるだろう。

 ラリー・イタリアがサンレモからサルディニアに開催地を移してから10回目の記念イベントとして行われた2014年にはモンテ・レルノは59.90km、全長およそ60kmの長さで行われており、20回目の今年はふたたびマシンやタイヤへの最大の試練となるだろう。

 しかし、金曜日はこのモンテ・レルノだけではなく、第一回大会以来の復活となるタンタリーレスのステージはわずか10.71kmながらタフでタイヤ選択にも迷うことになるだろうし、伝説となっていた壮大なダウンヒルのキッツビュールをルートに復活させたテラノーヴァといったタイヤにストレスがかかるステージのあと、50kmのモンテ・レルノがルートに組み込まれており、タイヤの耐久性やマネージメントが試されることになるはずだ。

 このような状況から、ピレリは、長く厳しいステージや摩耗の激しい路面で強度と耐久性を発揮するスコーピオンKX WRCのHAハードタイヤを主要タイヤとしてノミネートし、砂地の路面や湿ったグラベルでのグリップに優れるスコーピオンKX WRC SAソフトタイヤがオプションとして用意された。

 Rally1カーの各ドライバーには、レギュレーションに従って、メインタイヤのハードが24本とオプションのソフトが8本割り当てられ、さらにこれらに加えてシェイクダウン前にさらに4本のタイヤをいずれかのコンパウンドで選択することができることになっており(このタイヤをシェイクダウンで使用する必要はない)、天候の予想やレッキのといの路面状況に従ってチョイスのうえ、シェイクダウンを含めて最大28本を使用することができる。

 ラリー・イタリアが開催されるサルディニア島は例年、この時期は30度を超える高温となることからタイヤにとってもさらに厳しいコンディションとなっていたが、今週は天候が不安定なラリーウィークになると天気予報は報じており、小雨模様の日が続き、最高気温も26度と低くなりそうだ。

 ピレリのラリー・アクティビティ・マネージャーを務めるテレンツィオ・テストーニは、「よく知っているラリーだが、その落とし穴を甘く見ないように」と警告している。

「サルディニアは、私たちがグラベルタイヤを開発する上で、非常によく知るラリーだ。しかし、今シーズンの2つのグラベルラウンドとはまったく異なる落とし穴が隠されているため、決して侮ることはできない。モンテ・レルノのような長くて過酷なスペシャルステージに、ドライバーたちがどう対処するのか、そして金曜日の1日が、いつものようにラリー全体を左右するような1日になるのか、とても気になるところだ。サルディニアではハードタイヤが必須だが、ソフトタイヤはグリップが高いので、多くのスペシャルステージで面白い選択肢となるはずだ」

 また、WRC2、WRC3のマシンに供給されるのは、Rally1カー用に開発されたKXタイヤの特徴を受け継いだスコーピオンKシリーズとなる。Rally2カーはK4B(ハード)とK6B(ソフト)、Rally3カーはK4A(ハード)とK6A(ソフト)が用意されている。これらのカテゴリーでは、メインタイヤとして登録されたハードが22本、オプションのソフトが8本割り当てられ、シェイクダウンの前に1セット追加されることになる。