WRC2021/09/24

ピレリのテストーニがソルベルグにタイヤクイズ

(c)Pirelli

 世界ラリー選手権で優れた結果を出すためにはタイヤの正しい使い方を理解して、それをいかに実行に移すことができるのかが重要となる。ピレリのラリープログラムマネージャーを務めるテレンツィオ・テストーニが、期待の若手オリヴァー・ソルベルグがどれだけタイヤのことを理解しているか試験を行った!

テレンツィオ・テストーニ:「オリヴァー、今シーズンもすでに半ばをすぎた。スノー、グラベル、ターマックとすべてのコンディションを経験して、君も十分にテストをしてきてタイヤが機能していることを確認できたと思う。ではまず最初にグラベルのソフトタイヤについて、そこから始めようか。このタイヤがどのようなもので、どうやって使用するのか、君がどう考えているのかを是非知りたい、そしてそれが正しいかどうかを私が判断しよう」

オリヴァー・ソルベルグ:「ソフトなグラベルタイヤの場合は通常、雨が少し降ったり、基本的にはグラベルがウエットの状態でよりグリップを得るのに適しているのと、ドライであっても非常にルースなグラベルでも機能する。つまり、とても優れたオールラウンド・タイヤで、本当に必要な時にあらゆるタイプのコンディションでしっかり機能する。常に安定した性能を発揮してくれるんだ」

テストーニ:「オーケー正解だ。それでは次だ。ソフトタイヤにはこれとは別に2番目のタイヤがある。2つのタイヤの違いは?」

オリヴァー:「左用と右用がある。どちら側でも使用できるけど、正しいサイドにつけて使うのがベストだ」

テストーニ:「それは間違いないと思う?」

オリヴァー:「そう思っているよ」

テストーニ:「そうしたらスペアをトランクの中に入れることになるわけだけど、どちらを入れたらいいかな?」

オリヴァー:「それは特に気にしなくてもいいはずだ。なぜなら、パンクはどちら側でも起きるから、ある方を入れればいい」

テストーニ:「はい、正解。では次のタイヤはもっと固いグラベル仕様のものだ。こっちのよりハードなタイヤについては君はどう考えているのかな?」

オリヴァー:「ハードタイヤは、サルディニアに行くと、ベースがとてもハードで、2回目のループはかなり暖かくなる。基本的に長いラリーでは、長いループで生き残っていくために、タイヤをダメにしてしまわないようにハードタイヤが必要になる。パフォーマンスは少し低下し、グリップも少し落ちるかもしれないけど、基本的に長持ちさせることはできる」

テストーニ:「では、君にとってはソフトとハードでは、どちらが速い?」

オリヴァー:「そうだね、コンディションによる。完全にそうだよね。ある人は精度が高いということでハードを好むかもしれない。その一方でグリップが高いという部分でソフトの方を好むかもしれない。ソフトの方がよりオールラウンドなタイヤなのかもしれない、様々な場面で機能する、ソフトタイヤの方が速いと僕は思う」

テストーニ:「グラベルタイヤについて、最後の質問だ。コンパウンドについては話しをした、どのように使用するのかについてもね。ではソフトとハードの適正な空気圧と、どのようにそれを使っていくのかについてはどうかな?」

オリヴァー:「それは難しい質問だね。ドライバーによって空気圧はそれぞれ異なっている。中には非常に低く設定する人もいるけど、それはリスクを伴う。序盤は低めの空気圧にした方がパフォーマンスを少し上げられるかもしれない、でもそれはまたパンクのリスクが非常に高くなる。だから普段僕は、空気圧に関してはあまりリスクは負わず、ラリーを完走するために少し高めに設定しているんだ。ステージ全体で安定したグリップを得るためには空気圧を前後とも2バール以上にはしない方がいいと思うし、あとはコンディションその他によると思うけど、タイヤの空気圧をどうしたいかはすべてその状況による。でもパンクの可能性もあるからあまりに低い状態でスタートしない方がいい」

テストーニ:「速く走ること、そして勝利のための正しい情報をしっかりと把握しているようだね。それならもう十分勝利できるはずだ、タイヤの使い方については、それを言い訳にはできないからね、もう十分速くなっているはずだよ! では次、これもハードコンパウンドだが、今度はターマックだ。これはまったく別物だ。ハード・ターマックタイヤについてはどう思っている? 君はイタリアで初めてのターマックイベントを走った経験がある、とても暑かったし、間違いなくハードタイヤが正解だった。君はどんな感想を持ったかな?」

オリヴァー:「そうだね、特にイタリアみたいにあれだけ暖かいとハードタイヤが唯一の選択肢だった。ターマックでは常にとても良いグリップが得られる。ハードタイヤはとても高い精度が得られる、温まるのに時間がかかってステージの前にもっと温度が必要になるけど、気温が高い時には安定した性能を発揮できて長時間使用することもできる。温度が上がった時に精度の高いグリップを発揮して、そして長く使えるという、優れたオールラウンド・タイヤだ」

テストーニ:「それでは次にソフト・ターマックタイヤについてはどうかな?」

オリヴァー:「ハードに比べてあまり多くの経験をもってないが、少し冷えているときにはソフトのほうが良い選択になる。湿っていたり、たぶんウェットになったときもね。もちろん、少しだけならウェットのときでさえ、ソフトのスリックタイヤなら走ることもできるし、いつも良いグリップがあるし、正確な走りができる」

テストーニ:「最後にレインタイヤだけど、我々はかなり広いレンジで効果があるとわかっているが、君の意見はどうかな?」

オリヴァー:「レインタイヤは実際、オールラウンドでとてもいいよ。もちろんフルウェットだけでなく、マッドや湿ったところであっても多くのグリップを得たいときには使うことができる。パターンのデザインが排水性を高めているので、とても正確な走りができるよ。もちろん、少しだけ湿っているとか、あるいはフルウェットでも、いずれのコンディションでもタイヤはうまく働く。あなたが言うように大きなレンジがあり、たいていのコンディションで使えるよ」

テストーニ:「OKだ。それではオリヴァー、このレインタイヤがウェットコンディションでもっとも速いタイヤであるということでいいかな?」

オリヴァー:「そうだね、完全にそのとおりだ。でも、いま僕は本当に知りたいのは、どうやってこの試験を実行するかだ。僕のタイヤの知識は十分?」

テストーニ:「たしかに。君はすでにすべてを理解しているようだが、もっと経験を積めば、より早く学べるだろう。私は君はすでにこれらすべてのタイヤを使う準備ができていると思うし、勝つことができる準備ができていると思うよ」

オリヴァー:「そう期待しているよ。それが僕の計画だからね! ありがとう、先生!」