ERC2020/11/29

フォーモーがERC初優勝、ルクヤヌクが2度目王者に

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)最終戦のラリー・イスラス・カナリアスは28日に最終日を迎え、Mスポーツ・フォードのアドリアン・フォーモー(フォード・フィエスタRally2)が逆転でERC初優勝を飾っている。また、7位でフィニッシュしたサンテロック・ジュニアラリーチームのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)が、オリヴァー・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)を抑えて2度目のERCタイトルを獲得している。

 ルクヤヌクはソルベルグに27ポイントという大差をつけて最終戦のカナリアスを迎えていたが、金曜日の初日、タイヤチョイスのミスによって雨のステージで一時13位まで後退、追い上げを見せるものの、天候の急変に阻まれて初日は8位と出遅れていた。

 ルクヤヌクは雨となった最終日はガルダールの2回の走行ともにコースオフを喫し、リヤを破損する不運にも見舞われたが、最終的には7位でフィニッシュを迎え、2018年以来、2年ぶりのERCタイトルを獲得することになった。

「今日の自分のパフォーマンスにはがっかりしている。しかし、正直に言うと、勝っても負けても、どんな形であれこの戦いを終わる瞬間を僕は不安な気持ちで待っていた。シーズン中には多くのプレッシャーがあったので、今はただ息を吸い込んで、リラックスして、この喜びを感じるだけだ」とルクヤヌクは喜びを語っている。

 ラリー・イスラス・カナリアスの最終日は激しい雨の朝となり、初日トップのヒュンダイ・エスパーニャのイヴァン・アレス(ヒュンダイi20 R5)がウエットコンディションとなったSS10ヴァレスコではペースを上げられず、フォーモーが首位に立つことになった。

 しかし、続くSS11ガルデールでは、初日に速さをみせながらも天気の急変で首位を失ったニル・ソランス(シュコダ・ファビアRally2エボ)がベストタイムを奪って首位へと返り咲くことになった。しかし、多くのドライバーが川のような路面になったコーナーでコースオフに見舞われるなか、彼もここで同じようにコースを外れており、ステージエンドに辿りついたマシンは2本をパンクしており、スペアを1本しか持たない彼は左リヤをパンクしたままSS12を走ることになる。ソランスは朝のループに残された2つのステージで2分10秒あまりを失って15位まで後退、カナリアスの表彰台争いとともにスペイン選手権の逆転タイトルの可能性を失ってしまう。

 ソランスのトラブルで首位を取りもどしたのはフォーモー、2位で続くのはSS13ではバリアに接触しそうになりながらも朝のループで2回のベストタイムを奪ったフランス・チャンピオンのヨアン・ボナート(シトロエンC3 R5)だが、二人の差は33.4秒と大きく広がっている。

 フォーモーは午後に残されたループは安定したペースを守って走行、それでもボナートにはわずか4秒差を縮められただけで、最終的には25秒差をつけてカナリアスでERC初優勝を飾ることになった。

 雨のなかのボナートのスピードには追いつけなかったが、アレスは3位でフィニッシュ、ラリー・ファフェ・モンテロンゴに続く今季2度目のERC表彰台を獲得した。

 ソルベルグは最終日、スペイン選手権でタイトル争いを演じているホセ・スアレス(シュコダ・ファビアRally2エボ)を抜いて4位まで順位を上げ、グレゴワール・ムンスター(ヒュンダイi20 R5)を抑えてERC1ジュニアのタイトルを獲得することになった。

 ラリー・ハンガリー勝者のアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRally2エボ)はSS13のスタート前にエンジンがかからなくなるというトラブルに見舞われ、タイムコントロールに2分遅れることになったが、終盤のSS15、16では連続してベストタイムを奪って8位から6位へとポジションを上げている。

 ERC2は初日首位につけたポーランドのダリウス・ポロンスキー(アバルト124ラリーRGT)がステアリングトラブルで後退、ティボール・エルディJr(三菱ランサーエボルーション)が勝利でタイトルに輝いている。

 ERC3ジュニアとERC3 は、スペインのホセップ・バッサス(プジョー208 Rally4)がラリー・ファフェ・モンテロンゴに続いて今季2勝目を獲得、エストニアのケン・トルン(フォード・フィエスタRally4)はコースオフでマシンにダメージを負いながらも2位でフィニッシュ、すでに計算上決まっていたERC3ジュニアとERC3のタイトル正式決定をゴールで喜ぶことになった。

 なお、昨年のカナリアス勝者のペペ・ロペス(シトロエンC3 R5)は初日のクラッシュでリタイアとなったために54位に終わったが、ライバルがトリッキーなコンディションのなかでポジションを上げることができなかったため、スペイン・チャンピオンに輝いている。