WRC2020/09/12

ブリーン、アダモを唸らせ恩返しのために頑張った

(c)Hyundai

 ラリー・エストニアで2位を獲得したクレイグ・ブリーンは、ヒュンダイの2021年世界ラリー選手権のシートを獲得するためにチームボスのアンドレア・アダモを唸らせる強烈なパフォーマンスをみせることが先週末の目的の一つだったと語った。

 ブリーンは週末を通して絶好調のペースをみせて、ラリー勝者であるオイット・タナクからずっと離されることなく、2つのステージで最速タイムを記録してヒュンダイに貴重な1-2フィニッシュをもたらした。

 ブリーンは昨年のフィンランドとウェールズ、2月のスウェーデンに続き、i20クーペWRCでの4度目のWRCでのスタートとなったエストニアにおいてチームに拾われて以来初となる表彰台をつかむことになった。

 ブリーンはこれまでの2シーズン、ダニエル・ソルドや9度の世界ラリー王者であるセバスチャン・ローブとマシンをシェアして参戦の機会は限られてきたが、再びWRCでフルタイム参戦するためにも、エストニアでのパフォーマンスが絶対に必要だと心に誓っていたと明かした。

「来年に向けての準備をするために、自分自身をショーウィンドウに置きたくて、このイベントをスタートした。今回の目的の一つはオーディションに勝つことだった」とブリーンは語った。

 ブリーンの今回の参戦は、昨年、山林火災によって中止になったラリー・オーストラリアの代替えとして当初は今年のフィンランドが充てられる予定だったものだが、それも中止になったためにエストニアへの参戦へチケットは持ち越しになっていた。

「これまで何度かゴールデンチケットをもらったことがあるが、今回の参戦は去年すでにもらっていたもので、かなり例外的なものだったと思う。自信を持てるまでに少し時間がかかったが、今は(求められているものを)絶対に提供できると感じている」

 ブリーンの2位は、2018年のラリー・スウェーデンでシトロエンのためにドライブしたとき以来で、自身のベスト記録だ。

「最初から最後まですべてがうまくいった」とブリーンは語った。

「おそらく僕の期待をわずかに超えていたと思う。土曜日の朝から本当に良いリズムで、クルマやすべてと一体となって、すべてを少し前進させたように感じた週末だった」

「世界最高のドライバー2人(タナクとセバスチャン・オジエ)と一緒に表彰台を争うことができたことは、とても誇りに思うよ」

 ブリーンは、ヒュンダイチームが自分を信頼してくれていることに恩義を感じており、できるだけ早く強い結果を出して「彼らに恩返しをしたかった」と付け加えた。

「彼(アンドレア・アダモ)がいなければ、今の僕がなかったことは間違いない。アンドレアだけでなく、周りの皆もだ」

「彼らは公平に考えて、僕を選んでくれた。昨年のフィンランドで僕を再びマシンに乗せることはすでにリスクだったし、昨年のGBでの事故の後スウェーデンでも僕をマシンに乗せ、僕とポール(・ネーグル)に信頼を置き続けてくれた。僕は彼らに本当に恩返しをしたかった。そして、この結果が僕たちにできることのほんの第一歩であることを願っている」

 チーム代表のアダモは、ラリー後の記者会見においてブリーンの今回の活躍が次戦ラリー・トルコのドライバーズラインナップに変更をもたらすかどうかを問われ、次のようにコメントしている。

「彼にはトルコで会うよりも来年の方が大事だ」