WRC2019/06/25

ポロGTI R5の無償アップデート開始

(c)VW

 フォルクスワーゲン・モータースポーツは、ポロGTI R5に発生していた火災の原因を突き止め、その技術的な検証作業が完了したことからカスタマーのためにマシンの無償アップデートを開始した。

 フォルクスワーゲン・モータースポーツは3台のポロGTI R5が火災に見舞われたラリー・デ・ポルトガルの直後から専門家やコンサルタントを招いて火災の調査を行い、その数日後には、ポロGTI R5の燃料タンクのセーフティ・バルブに問題があり、特定の燃料を使用した時にその機能が制限されてしまう可能性があるという調査結果をまとめるとともに、すでに、燃料タンク内のガスを抜くためのシステムの改良、タンク内にオーバープレッシャー(圧力過多)が生じても変形しないようにタンクカバーを強化、排気システムの取り付け変更によって排気熱からの燃料システム損傷を守るという解決策について明らかにしてきた。

 フォルクスワーゲンは、対策済みのパーツを技術的な検証作業を行ったのちにカスタマーに配布するとしてきたが、南フランスにおいてポントゥス・ティデマンドによって650kmにわたるテストが敢行され、また、40度近い気温となった先々週のラリー・イタリア・サルディニアでもオーレ・クリスチャン・ヴェイビーがフォルクスワーゲン技術陣の監督の下で燃料タンクのモディファイが行われたマシンで参戦、実戦で問題がなかったことが確認されていた。

 このポロGTI R5が開発された昨年の時点で問題が発生しなかった理由として、フォルクスワーゲン・モータースポーツが昨年まで公式燃料サプライヤーだったパンタ社の燃料をしていたためと考えられていた。フォルクスワーゲンは、今回のテストでは実戦と同様に2019年から新しい燃料サプライヤーとなったトタル社の燃料を使用しての検証作業を行ったと発表、事実上、燃料に起因する問題であったことを公式に認めるとともに、最新のすべてのテストにおいて燃料タンクには一度もオーバープレッシャーが発生しなかったことを報告している。

 フォルクスワーゲン・モータースポーツはプレスリリースのなかで、「迅速な対応によって、カスタマーが使用するすべてのポロGTI R5の無償アップデートと変更を行い、新たにファクトリーからデリバリーされているマシンはすでに変更済みである」と発表している。

 今週末にはポーランドで行われるヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)には4台のポロGTI R5が、ベルギーのイープル・ラリーにも4台が出場することになっており、フォルクスワーゲン技術陣の作業が完璧だったかどうかを確認することができそうだ。