WRC2020/09/30

マキネン、プーポラは将来もトヨタのWRCとともに

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシングWRTのトミ・マキネン代表は、プーポラの研究開発のためのワークショップが果たしている機能が将来もケルンにあるトヨタGAZOOレーシング・ヨーロッパに完全移管されることはないはずだと語った。

 トヨタは先週、2021年からWRC活動のオペレーションをトミ・マキネン・レーシング(TMR)からTGRヨーロッパに移管することを発表、これまでトヨタGAZOOレーシングWRTを率いてきたマキネンは来年1月から同社のモータースポーツアドバイザーに就任し、チーム代表を辞任する予定だ。

 トヨタGAZOOレーシングWRTのファクトリー機能は、現在、プーポラにあるTMRの研究開発ワークショップと、ラリーに向けてマシンのプリペアを行なうためのエストニアのタリンにある第2のファクトリーで構成されている。プーポラのワークショップは、これまでヤリスWRCの開発における拠点となっており、チームはマキネン代表が所有するフィンランドの高速グラベル路をWRカーの開発作業を行うためのテスティングサイトとして利用している。

 トヨタもいまのところ、来季以降も既存のTMRの人材や施設を活用し、これまで同様にフィンランドとエストニアを活用したオペレーションを継続することを発表しているが、将来的には広大なTGRヨーロッパの施設をさらに活用する方向にあるとも噂されるが、マキネンはトヨタがWRCのファクトリー機能を将来もTGRヨーロッパへ完全に移設する計画はなく、プーポラのワークショップはこれからもトヨタのために果たす役割は大きいと確信している。

「ケルンへの移転計画はないと確信している」とマキネンはラリーメディアのダートフィッシュに語った。

「今のところ、プーポラにおけるトヨタの施設の数はむしろ増えている。より大きな場所が空いていたので、ハイブリッド・ラリーカーの開発や現行マシンの開発などにそれを利用している。今までは施設の量が少々限られていたが、彼らはさらに施設を大きくすることを選択した」

 プーポラでは現在、2022年のデビューに向けたハイブリッドのRally1マシンの開発がスタートしているが、マキネンはカスタマーにむけたRally2マシン開発についてもプーポラは最適の施設をもっていると語っている。

「プーポラはRally2マシンやカスタマーにむけた他のマシンを作るのにも適した場所だが、その計画がどうなるのかは把握していない。しかし、全体的には非常に建設的で、これらのオペレーションのすべてが今回の作業の念頭に置かれていることは間違いない」

 マキネンは、TMRは今後もワークショップスペースを残し、自身がWRCチームから外れた後もこのワークショップではWRCプログラムのための多くの作業を続けることになると語っている。

「トヨタ自動車(TMC)は常に何が起こっているのか、何をしているのか、様々な分野でどのような開発が行われているのかを正確に知りたがっているので、今回の決定を私は完全に理解している。今後は彼らがそれをコントロールするのがはるかに容易になるので、日本からもっと多くの人が入ってくるようになるかもしれない。私はTMCがすべての従業員の面倒を見てくれると確信している。我々のデータやツール、設備はすべてトヨタの下にあり、基本的にインフラ全てが同一なので、TMCは非常に多くの部門でプロセスを追うことができる」

「我々はこれだけ良い、強いチームを築いてきたし、もちろんそれを離れるのは少し寂しい気持ちもある。しかし完全に離れるわけではなく、どんな時もどんなことでも彼らを追い続け、一緒に生き続けている。それはとても、とても理想的な状況だと思う」