ERC2021/09/19

ミケルセンがアソーレス優勝、選手権リードを拡大

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第5戦アソーレス・ラリーは、トークスポーツWRTのアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRally2エボ)が逆転で今季ERC勝利を飾り、初日をリードしたチームMRFタイヤのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 R5)は14.8秒差の2位となった。

 アソーレス・ラリーの最終日は、ディフェンディングチャンピオンのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 Rally2)がオープニングSSでダブルパンクのためにリタイアとなる波乱とともに始まることになった。

 初日も最初のステージのパンクのために7位という不本意なポジションでこの日を迎えていたルクヤヌクは、SS7コロナ・ダ・マッタを走行中に右リヤタイヤをパンクしたため交換、さらに左リヤをスローパンクして彼はステージをフィニッシュしたものの、1本しか搭載していなかったスペアタイヤを使い果たしたため、ここでゲームオーバーとなってしまった。

 ルクヤヌクは、前戦チェコ・ラリー・ズリーンでもスタート前のテストでマシンをクラッシュ、ラリーを欠場したために選手権のトップを陥落しており、またしてもゼロポイントに終わったことで、タイトルは絶望的な状況となってしまった。

 このドラマにより、これまでのシーズンをルクヤヌクとタイトル争いを演じてきたミケルセンにとっては有利な展開となった。ミケルセンはこのステージでベストタイムを奪い、ソルドに1.6秒差に迫ったものの、タイトル争いには関係のないソルドを無理して追う必要はなく、着実に選手権ポイントを獲得するペースに切り変えるかにも思われた。

 しかし、ミケルセンはペースを落とすことなく、SS8フェテイラスでもベストタイムを奪って1.9秒差でソルドを逆転する。有名な火山湖の火口を走るSS9セテ・シダデスでは今度はソルドはベストタイムを奪い返して0.1秒差に迫り、さらにSS10でも連続してベストタイムを奪い、0.5秒差で首位を奪い返してポンタ・デルガダのデイサービスへと戻ってきた。

 だが、フレッシュタイヤを使い果たして首位を死守したソルドの踏ん張りもここまでだった。朝のループでタイヤを温存してきたミケルセンは最後のループでもじわじわとソルドとの差を広げ、最後の3ステージともに連続してベストタイムを奪って、最終的にソルドに14.8秒差をつけて優勝を飾ることになった。

「すべてOKだった。朝の時点では最速ではないタイヤを履いていたが、それが午後のループでは功を奏したというわけだ。チームには感謝している。(コドライバーの)エリオット(・エドモンドソン)は素晴らしい仕事をしてくれたし、僕自身も満足している。ダニといいバトルができて、本当にいい週末だったよ」とミケルセンは喜びを語っている。ミケルセンは選手権でも136ポイントを獲得、34ポイント差にリードを拡大している。

 勝利こそ叶わなかったが、ソルドは初めて使用したMRFタイヤにも満足できたとふり返っている。「今週末のパフォーマンスにはとても満足している。タイヤも非常に良く機能していたし、開発にとってもいい結果をもたらすことができた。今日はタイヤを使い果たしてしまったが、全体的には満足しているよ」

 ソルドの後方では初日の終盤までラリーをリードして、最終日も3位を守ってきた地元のリカルド・モウラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が最終ステージでまさかの横転、逆転でエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が3位フィニッシュを迎えている。ヤレーナにとっては昨年のハンガリー以来となる2度目のERC表彰台となり、選手権でもミケルセンに次ぐ2位へと浮上している。

 3.2秒差で惜しくも4位となったモウラは、「タイトなコーナーで愚かなミスをしてしまい、インをひっかけしまった」と悔しがった。

 ヤレーナの後方、5位につけて最終日を迎えたヤッコACCRチームのエリック・ツアイス(フォード・フィエスタRally2)はセテ・シダデスのステージでジャンプの着地でラジエータを破損してリタイアとなった。前戦チェコ・ラリー・ズリーンでも勝利を目前でリタイアした彼は、「自分のミスだ。スピードが速すぎて、ブレーキをかけるのが遅すぎたため、ジャンプが高すぎてしまった。フロントを打ってしまい冷却系が壊れてしまった。僕らはもっと強くなって戻ってこなければならない」

 ツアイスが消えたあと、ORLENチームのミコワイ・マルツィック(フォード・フィエスタRally2)が、ヒュンダイ・ラリー・チーム・イタリアのウンベルト・スカンドラ(ヒュンダイi20 R5)を抑えて5位でフィニッシュしており、ERC2ではハビエル・パルド(スズキ・スイフトR4lly S)が、ERC3ではジャン・バティスト・フランチェスキ(ルノー・クリオRally4)を駆ってそれぞれ優勝している。