WRC2020/09/17

モンツァ・ラリーショー、今季WRC最終戦案が浮上

(c)Monza Rally Show

 WRC候補として名前が挙がってきたラリー・クロアチアの新しい情報はないが、すでにかなり奇妙なシーズンとなった今季の世界ラリー選手権フィナーレを、モンツァ・ラリーショーが飾るのではないかとの憶測が高まっている。

 モンツァ・ラリーショーは、イタリア北部のサーキットであるアウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ(モンツァ・サーキット)とバンクをもつ旧オーバルコースやその周辺の施設の道路などを組み合わせてコースを設定して開催されている。モンツァ・サーキットは、F1イタリアGPが開催されるサーキットとして広く知られるが、ラリーの舞台としての歴史も長く、1978年から毎年ラリーイベントが開催されており、2003年からはモンツァ・ラリーショーが多くのトップドライバーを集めて開催されており、イタリアにおけるモータースポーツシーズンを締め括るイベントとしてすっかり定着してきたが、12月3日から6日に開催される今シーズンはWRC最終戦の候補地として注目されている。

 モンツァ・ラリーショーは、金曜日の夜のナイトステージで開幕したあと、日曜日の昼にゴールを迎えるスタイルで行われ、昨年は2日間で8SS/159.24kmというスケールで開催されている。これは暖冬のためにステージキャンセルが相次いだ今年のラリー・スウェーデンの9SS/171.64kmと比較してもそう短いわけではなく、サーキットの照明を使えばナイトステージの設定することも可能となり、さらなるルートを確保できそうだ。

 モンツァ・ラリーショーについては、当初は新型コロナウイルスによって中断していたイタリア・ラリー選手権の状況を憂慮したオートモービル・クラブ・イタリア(ACI)がサーキットをベースとしたシリーズ戦でシーズンを再開させたいとしたアイディアが発端となり、来季からWRCへコントロールタイヤを供給するピレリが支援を表明したことから7月にはWRCカレンダーの有力な候補として噂されていたこともあった。

 また、FIAが夏前にシーズン再開のガイドラインとして発表した「リターン・トゥ・モータースポーツ」のなかで、複数のエリアを使った大会を開催するのではなく、管理に適した1つのエリアや施設を使ってイベントを開催することを提言していたが、その際に例として挙げられてきた「サーキット」はモンツァ・ラリーショーのことを指しているとも噂されてきた。

 WRCは今季、今週末のラリー・トルコが開催されたあとは、10月のラリー・イタリア・サルディニアと11月のイープル・ラリーしか残されていない。ある選手権の関係者はもう1戦ポイントを獲得できるラウンドを盛り込みたいとラリーメディアのダートフィッシュに対して語ったという。

「モンツァはWRCにとって非常に理にかなっている。サンレモ・ラリーに匹敵するイベントになるとは誰も思っていないが、サーキットの走行距離は十分にあるので、面白いイベントになる」

「壮大なスケールで非常に高いレベルの単一会場のイベントになるだろう。マニュファクチュラーにとっては、費用対効果の高い最終戦になるし、もし規制が許せば、観客を限られた形で参加させることができる」

 モンツァ・ラリーショーでは、2011年には9度の世界ラリー王者であるセバスチャン・ローブが優勝しており、その後、マニュファクチュラーにとっても重要なPRイベントと認識されるようになってきている。2010年と2013年にはダニエル・ソルドが2度の優勝を果たしており、2017年にはヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィルとアンドレアス・ミケルセンが1台のi20 WRCでお互いにドライバーとコドライバーを交代しながら参戦した。

 過去、モンツァ・ラリーショーで7度の優勝経験をもつバレンティーノ・ロッシが世界最速のラリードライバーたちを相手に優勝を挙げれば、これまでのトリッキーなシーズンの締めくくりにふさわしいものとなりそうだ。

 今季のモンツァ・ラリーショーがWRCとして開催されなくても、ピレリは昨シーズンのラリー・エストニアのようなWRC公式プロモーションイベントとして開催されることに乗る気だと言われているようだ。