WRC2020/07/03

ラタス首相「エストニアにとって歴史的な瞬間」

(c)Rally Estonia

 FIAとWRCプロモーターは木曜日、これまで中断してきた世界ラリー選手権について9月のラリー・エストニアでシーズンを再開することを発表したが、それと同じ時刻にエストニアではユリ・ラタス首相が記者会見でエストニアでのWRC開催が決まったことを高らかに報告することになった。

 7月2日にタリンにあるエストニア政府官邸ステンボックハウスで行われた記者会見には、ラタス首相、財務省のマルティン・ヘルメ大臣のほか、ラリー・エストニア主催チームのウルモ・アーヴァ、WRCプロモーターのオリヴァー・シースラらが出席、世界ラリー選手権のラウンドとしてラリー・エストニアが9月4-6日に開催されることが正式発表されている。

「これは間違いなく歴史的な瞬間だ。世界ラリー選手権の舞台は、9月4-6日にエストニアで開催されることが決まった」とラタス首相は語った。

「これは長年にわたる多くの人々の一貫した努力の結果であり、エストニアはワールドチャンピオンの故郷であるだけでなく、世界ラリー選手権の歴史への一歩を踏み出すことになった。エストニアで世界ラリー選手権が開催されることは、エストニアを世界に紹介し、エストニアの経済と地域の発展に貢献し、エストニアのモータースポーツとその発展にもプラスの影響を与えてくれることを確信しているよ」

 ラタス首相は先月、政府はイベントを支援するために追加資金を割り当てる用意があると述べていたが、WRC開催が決まったこの日、ラリー・エストニアの当初の予算98万ユーロに加え、150万ユーロが追加で割り当てられることが発表されている。政府支援の総額はおよそ250万ユーロとなる。

 今季のラリー・エストニアは、タルトゥとともに南エストニアのカネピ、カンビャ、オテパー、エルヴァなどの伝統的なラリー・エストニアのエリアで開催される。4日の金曜日にはシェイクダウンとセレモニアルスタートのあと、短いステージが行われる可能性があるが、メインは土曜日となり、6日の日曜日の昼にはゴールを迎える。232kmという非常にコンパクトなステージが計画されている。

 ラリー・エストニア主催者代表のウルモ・アーヴァは、夢が実現したことを喜ぶとともに、2カ月後の開催まですべての運営に関係する者が全力で準備を行わなければならないと語った。

「これは夢の実現だ。私たちが主催者として運んできたエネルギーが実を結ぶことになった。海外ではエストニアは小さな国だとしか知らない人もいろだろうが、このイベントできっと認識が変わるはずだ。小さいことこそ私たちの強みであることを私は確信している。エストニアが世界で最高の主催者になれるんだと世界の認識は変わるはずだ」とアーヴァは語った。

「私たちは4年前、この日を目標に走ってきて、この2年で大きく近づくことができた。しかし、2カ月後の開催までは時間がとても短いものだ。すべての運営に関係する者が全力で準備を行って最高のステージを準備しなければならない」

 エストニアでは7月1日現在、屋内イベントは500人、屋外イベントの観客数は1,000人に制限されているが、これらがいつまで続くのか終わりはまだ設定されていない。アーヴァはラリー・エストニアがどのくらいの数の観客が観戦できるかはまだ予測が難しいと述べた。

「私たちは9月に開催される時には制限がないかのように振舞っているが、それがどうなるのかはわからない。私たちは観客がいなくても、このイベントを開催できるように関係者が連携できるように準備しておかなければならない。異なる計画を準備する必要があるし、15,000人の観客を想定すればゼロになってもいいし、あるいは1万でも1000人にすることもできる。全員が協力して準備する必要がある」

 ラタス首相は観客数の制限について次のように付け加えた。「誰も好んで人々が娯楽へアクセスするのを制限しているわけではない。すべてはウイルスに関連している。観客の制限に関しては来週また議論するが、9月についてはまだ予測できないため、8月にもう一度検討することになるだろう」

 エストニア財務相のマルティン・ヘルメは、エストニアにとって世界ラリー選手権開催のメリットを強調した。

「この膨大な準備作業を主催者に祝福したところだ。スポーツは常に人々に多くの良い感情をもたらすとともに、それはまた、国家予算にも収入をもたらすことになる」

「このようなイベントには勇気も重要だと思う。ベンチャーが成功するかどうかは80%は背後における予備作業にかかっている。このようなイベントならエストニアもその可能性を利用することができると信じている。観客への制限についても柔軟かつ創造的に解決することができると信じている。その日ごとに、あるいはkm単位で観客数を許容することになるだろう」

 ラリー・エストニアではシェル・ヘリックスが昨年までメインスポンサーだったが、世界ラリー選手権のパートナーとしてトタル石油やWolfオイルとの契約があるため、主催チームはいまのところイベントのメインスポンサーが決まっていないことを認めており、他のすべてのスポンサーと同じDNAと価値観を持つ戦略的サポーターを探していると語っている。