WRC2020/12/21

ラトバラ、WRCドライバーとしての時代は終わった

(c)Toyota

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 トヨタGAZOOレーシングWRTの新しいチーム代表に決まったヤリ-マティ・ラトバラは、ドライバーとしての僕の時代は終わったと語り、チームの代表として新しい夢にむかって挑むと決意を語った。

 ラトバラは、トヨタGAZOOレーシングWRT がソーシャルメディアにおいて公開したロングインタビューにおいて、彼の新しい役割について説明するとともに、新しい挑戦への心の準備ができていると語っている。

「僕は章男社長とトミが始めたこの仕事を引き継げることを、非常に楽しみにしている。知っての通り、章男社長と一緒にこのチームを作ったのは、フィンランド人ドライバーだ。そして今、チームに始めから参加してきたもう一人のフィンランド人ドライバーが、この仕事を引き継ぐ」

「僕にとって、ドライバーからチーム代表になることは、大きな転換点だ。今後はより大きな視野で物事を見ていかなくてはならない。チームとして団結して仕事することが重要で、それが結果に結びつく。ドライバーの仕事は、チームが作ったマシンで最高のパフォーマンスをして最高の結果を出すことに専念することだ。しかし、チーム代表の仕事は、より大きな全体像を見据えて、人々をまとめ、結果を出すために高いモチベーションを引き出さなければならない。それは新しい挑戦だが、僕の準備はできている」

「僕たちは常により良いマシンを作りたいし、そのためにも、より良いチームを作りたい。すでに最高の土台があり、チームに浸透する章男社長のトヨタスピリットは理解しているので、それを継続したい。しかし当然、改善に終わりはない。どのレースにも改善できる点は必ずあるし、それが僕のしたいことだ。チームのディレクターたちと協力し、改善できる点をすべて見つけたい」

「新しいチームには、スポーティング・ディレクターにカイ・リンドストローム、テクニカル・ディレクターにトム・フォウラー、ラリー・プロジェクト・ディレクターに春名(雄一郎)さん、そしてチーム代表に僕がいる。すべてのディレクターが自分の担当分野で働き、情報を持ち寄り、チームとして決定を下す。一人一人がとても重要だ。彼らがどう感じているかが、ドライバーの結果に影響する。もし個々人が、気持ちよく意欲に満ちて働けたら、100パーセントの結果が出るだろう。僕は皆に100パーセントを保ってほしい。そのために、僕の仕事は重要になるだろう。僕は皆に会いに行き、彼らがどう感じているか話し合う。大切なのは、彼らがいつでも話に来られるように、僕がチームのためにそこにいることだ」

「スポーティング・ディレクターのカイは、ドライバーと直接話すだろう。ドライバーにはそれぞれのエンジニアもいる。基本的に、ドライバーにとってエンジニアとの関係は最も重要だ。セットアップなどについて話し合う必要があるからね。僕は常にドライバーのためにそこにいて、もし彼らが望めば、自分の持っている情報をすべて提供するつもりだ。自分のやり方を押し付けるつもりはない。だが、僕の経験が彼らの役に立つならこれ以上に嬉しいことはない」

「ラリーの素晴らしいところは、タイムと競うことだ。サーキットレースのように、他人と直接競い合うことはない。だから、ラリードライバー同士は基本的に尊敬し合っている。特にエヴァンスとセブとはチームメイトだったので、お互いに常に尊敬し合ってきた。今後もこの関係が続くと思う」

「WRCでドライバーとしての僕の時代は終わった。チーム代表になったので、世界選手権で再び走ることはできない。僕はドライビングが好きなので、ラリーの世界でトヨタの伝統を継承したい。時間があれば、ヨーロッパ・ヒストリー選手権のいくつかのイベントに参加したい。僕のトヨタ車で挑戦を続けることも、素晴らしいストーリーになるだろう。しかし、世界レベルでは、もう一つのやるべき仕事が僕を待っている」