WRC2020/08/26

ラリー・ドイッチュランド、無念の中止決定

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 ドイツ自動車連盟(ADAC)は、10月15-18日に予定されていたラリー・ドイッチュランドの今季開催を断念することを正式に発表した。新型コロナウイルス感染症の流行に伴うキャンセルは、アルゼンチン、ポルトガル、ケニア、フィンランド、ニュージーランド、英国、ジャパンに続いて8戦目となる。ドイツは2002年に初めてWRCが開催されてきたが、2009年に一度だけカレンダーを外れたことがあった。今年はドイツがない2回目のシーズンになる。

 ラリー・ドイッチュランドについては、6月中旬、ドイツ政府が10月末までの大規模なイベントへの制限を延期したときからこれまでずっと開催が疑われていた。ラリー・ドイッチュランドの拠点となるボスタルゼーが位置するザールラント州、さらにステージが計画されるバウムホルダーが位置するラインラント・プファルツ州はいずれも政府決定を受けて350人以上のイベント・集会を禁止してきたが、8月以降も感染者の数が減らないことからこの州令も延長されており、ラリー・ドイッチュランドは無観客で行う以外に開催を実現させる方法はない状況となっていた。

 ラリー・ドイッチュランドを主催するADACのモータースポーツの責任者トーマス・ヴォスは次のように語った。

「ここ数週間、我々はザールラント州内務省、ほか地方自治体、バウムホルダーを管理するブンデスヴェーア(ドイツ連邦軍)と建設的に協力してきた。しかし、残念ながらラリーを開催するために必要な公式な要件を満たすことができなかった」

「州政府の規定では、一定の条件のもとで最大350人までの入場が許可されるが、これは観客だけでなく、参加者やラリー関係者も計算に入れなければならない。また、バウムホルダーのエリアは周囲約80kmあり、主催者としては人が不正アクセスをしないように確実にすることはできないし、結果的に当局との規則に違反することになってしまう。世界選手権ラウンドを実施することはできない」

 ラリー・ドイチュラントは来年、ローテーションに従ってカレンダーから外れ、2022年に再び世界ラリー選手権に復帰する予定だったが、コロナウイルスの影響が残る来年のカレンダーについてはヨーロッパを中心に構成することが検討されており、GBともどもカレンダー入りのチャンスが生まれるかもしれないと考えられている。

 なお、ラリー・ドイッチュランドのキャンセルによって、10月29日-11月1日に予定されたラリー・イタリア・サルディニアはより日照時間が長い10月8-11日に日程が変更されている。

■2020年WRCカレンダー改訂版(8月26日現在)
第1戦 モンテカルロ(1月23-26日)
第2戦 スウェーデン(2月13-16日)
第3戦 メキシコ(3月12-15日)
第4戦 エストニア(9月4-6日)
第5戦 トルコ(9月18-20日)
第6戦 イタリア(10月8日-11日)
第7戦 ベルギー(11月19-22日)