WRC2021/06/28

ラリー後会見「人々が僕を支え、助けてくれた」

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サファリ・ラリーで初表彰台を達成、キャリア最上位の2位フィニッシュを果たした勝田貴元は、ラリー後に行われた記者会見において、週の前半に食中毒になったため体調は最悪だったと告白、周りの人たちが支えに助けられたと明かし、感謝の気持ちを述べている。

―セバスチャン、ジェットコースターのような週末を経ての勝利、おめでとうございます。ゴールしたときのあなたとジュリアンの笑顔がどんなイベントだったかを物語っていましたが、フィニッシュラインを越えたときの気持ちを教えてください。

セバスチャン・オジエ:「正直なところ、ホッとした。最終ステージは非常に難しかった。とてもソフトなコンディションで、ライン上に岩があるのか無いのか、どのようなコンディションになるのか全くわからない状態だった。絶対にプッシュはしなかった。とにかくフィニッシュすることを望んでいたからね。とてもクレイジーな週末だった。誰もが面白い週末になるだろうと予想していたが、実際にその通りになった。いろいろなことが起こった。まず、レースのかなり早い段階でトラブルに見舞われた。その後は、僕たちは素晴らしい仕事をして、常にプッシュし続け、トップにどんどん近づいていった。表彰台には近づけると思ったが、このラリーで優勝するとは思っていなかった」

―予想以上に厳しい戦いでしたか、それともこんな戦いになることを予測していましたか。

オジエ:「実際には何も分からなかった。何かしら違って厳しいだろうとは予想していたが、これまで経験したことのない状況や物事に多く対処しなければならなかった。そのことは確かだ。決して簡単ではなかった。全体的には、この週末の自分の仕事に満足している。このラリーの準備は大変だった。チームもいい仕事をしてくれて、いいマシンを提供してくれたと思う。この週末は、ケニアのいたるところでトヨタ車の姿を目にした。おそらく、トヨタがここで築いてきた石垣に、僕たちはまたひとつ石を積み上げることができたのかもしれない」

―タカ、WRCで初めての表彰台です。今、この場にいることをどう感じていますか?

勝田貴元:「とても幸せだ。長くてタフな週末だったので、格別の気分だ。週の初めには体調が悪く、食中毒にもなってしまい、かなり体調を崩した。しかし、今はここにいる。僕の周りのすべての人々が僕を支え、助けてくれた。彼らのおかげで、いま僕はここにいるのだと思う。この場所を与えてくれたすべての人に感謝したい」

―体調不良の中での挑戦ということは、内情はさらに厳しい戦いだったのでしょうか?

勝田:「レッキの日はほとんど起き上がれなかった。チームの理学療法士や仲間のおかげで治った。ラリーの日にはすっかり元気で、100%集中でき、大きな問題もなかった」

―最終日をスタートするとき、最適なタイヤの選択肢がありませんでした。新鮮なコンパウンドのソフトタイヤが不足していましたが、それは少し悔しかったですか?

勝田:「もちろん、同じような選択肢があるに越したことはないが、この2日間は、僕の仕事によって、ダメージ(を受けたタイヤ)が増えてしまった。僕はセブを見習わなければならない。セブはいつもタイヤを非常にうまく管理している。これは、ラリーにおいて最も重要なことのひとつだ」

―オイット、サファリ・ラリーの挑戦について話してくれますか?今日はパワーステージで良いポイントを獲得できました、そういう意味では十分な成果を得られたと思います。

オイット・タナク:「金曜日と日曜日は挑戦としてまたサファリに期待されるらしさという意味でかなりいい感じだったと思う。ドライバーにとっては本当に楽しませてもらったし、僕はこのチャレンジを楽しんだよ。イベントの1つにちょっとしたスパイスが加わることでカレンダーもひと味違ってくる。かなり面白くしてくれる。とても楽しかったよ」

―嵐に見舞われてフロントガラスが曇ってしまってタイムロスしてしまった土曜日の夕方に関してはそうではなかったかもしれないですね。あれは本当に悔しかったですよね?

タナク:「何かのきっかけでこうしたことは起こってしまう、でも土曜日は結構スムーズな一日だった。とても慎重に、リスクを冒すことなくトラブルなくフィニッシュすることを念頭に置いていた。全体的にはスムーズな走りができたし特にドラマも起きなかった」

―あなたはこのラリーがWRCカレンダーに定着すべきだと考えますか?

タナク:「たとえば土曜日は、チャレンジの要素がもう少しあってもいいかもしれない。でも金曜日と日曜日はかなりの挑戦だった。サファリのためのスペースは確実にあってもいいと思う」

―ヤリ-マティ、今シーズン4度目のトヨタのワンツーですね。イベントは予想していたような厳しいものでしたか?

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・チーム代表):「もちろん、レッキをやった時、そう、これは確実にあの頃のサファリ・ラリーのようだ、って思った。唯一違うのはステージが短くなってクローズになっていることだけだ。イベントではドラマやハプニングもたくさんあった。ドライバーにとっては挑戦であり、また冒険でもあった。自分で走ってみたいとも思ったよ。気持ちが本当に盛り上がって、ラリーに勝利して、そして貴元が2位で初のポディアムを獲得して、そんな彼らを最後に見られたことが本当に嬉しい。貴元のことは本当に喜ばしく思う。金曜日の時点では、1台はポディアムに届くかなとは考えていた。でも最終的に、ドライバーたちの絶対諦めないという姿勢があって耐久性と堅実性が功を奏する形となった」

―エストニアが次に控えています。スーパー・ハイスピード。どんなプランで臨みますか? そこに向けて何か変更していくことはありますか?

ラトバラ:「昨年はパフォーマンス的に何かが足りなかったということは分かっているし、向こうではオイットが圧倒的に強くて今年も強いだろう。でも我々はすでにテストも行ってきて、クルマで改善できる部分についても学んで準備を進めている。たとえば、道が広くなっても狭くなっても機能できるクルマと言ったところか。テストから得られた結果はとても良いものだった。エストニアに向けて今は自信を持っている。それでも向こうで勝利を目指して戦うのは厳しくなることも分かっている。少なくとも我々にできることはやってきた」

(フロアからの質問)
―サファリはWRCカレンダーの固定イベントにすべきだと思いますか?

オジエ:「これは実際に大統領自身が表彰台で発表したことだと思う。正直に言うと、僕の答えもイエスだ。WRCには多様性が必要だし、素敵なイベントで、今週末は間違いなく面白かった。多くの人がアクションを見て楽しんでいた。非常に独特で、興味深い部分もあった。また、地元の人々の熱意を目の当たりにすると、僕たちもとても嬉しくなる。コロナの時代で長く観客を目にしなかったので、とても楽しかった。ロードセクションには信じられないほど多くの人が来てくれていた」

―ソーシャルメディアでは、多くの人があなたを「最も幸運なドライバー」と言っています。その「運」を掴み取るために、どのような努力をしてきたのか教えてください。

オジエ:「どうしたら長年にわたってこのような幸運に恵まれるのか、自分でもわからない。願わくば、それが最後まで続くことを願っている。運はスポーツの一部だ。少しの努力と少しの才能も必要だ。金曜日の朝はあまり幸運ではなかったと思うが、その後はうまくいった。特に付け加えることはない」

―貴元、2位に満足していますか、それとも優勝を逃して悲しいですか?

勝田:「僕はドライバーなので、常に勝利や優勝が一番だが、これが人生で初めての表彰台ということも忘れてはいけない。WRCでこういう順位を獲得したことはこれまで無かった。今はセブと競うときではないと自分に言い聞かせた。将来的には、もちろん戦いたい。だがセブと戦う前に、僕はまだ多くのことを学び、改善する必要がある」

―ポルトガルでいくつか問題があなたに発生しました。サルディニアで起こったことは単なる不運だったのですか、それともそれはチームが早急に対処すべきことなのですか?

タナク:「運とは関係なく何か物理的なことが起こっているのだと思う。それを把握することが重要だ。まず第一になぜこれらのことが起きているのかを理解していくことだ。もちろんチームはさらなるパフォーマンスの強化のためにずっと懸命に取組んでいてそのパフォーマンスは健在だ。その他のことが自分たちの思うようにうまくいっていないようだが、それに取組んでいるところだ」

―オジエ、これまでの6ラウンド中4ラウンドを制しました。あなたは2016年にも同じことを成し遂げています。8度目の世界タイトルが間近に迫っていて、しかもこれだけ調子がいいのに、まだ引退を考えていますか?まだまだ何年も続けられますよ。

オジエ:「8度目のタイトル.・・・。まだシーズンは半分だから、落ち着いて。今シーズンは6ラウンド中4ラウンドを勝利し、非常に良いスタートを切ることができた。現在、チャンピオンシップの競争力は非常に高くなっているので、良い成果だと思う。それは良いことだし楽しんでいるが、しかし、もう一度言うが、僕には人生において別の優先順位と将来の計画がある。どんな成績であれ、僕の考えが変わることはない。そうは言っても、8度目のタイトルを獲得するためにベストを尽くすつもりだ。シーズン前半は素晴らしかった。だがまだ半分だ。まだ多くのポイントが残っている。今の調子を維持する必要がある。今シーズンの終わりを楽しみにしている。このマシンは素晴らしいドライブができるし、本当に楽しい。この勢いを失わないようにしなければならない」