WRC2021/10/18

ラリー後会見「闘志を持っていることが大切」

(c)Hyundai

(c)Toyota

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―ティエリー、スペインでの2勝目おめでとうございます。今イベントでは素晴らしいペースを見せました。最初の3つのステージはあまり良くなかったようですが、その後、答えを見つけたのですか?

ティエリー・ヌーヴィル:「金曜日の昼間にセットアップを変更したことが奏功したようだ。僕のエンジニアは、少し根本的な変更をするべきだと僕を後押ししてくれた。この決断は正しかった。すぐにマシンのフィーリングが良くなり、午前中のループで顕著だったアンダーステアを減らすことができた。その後は非常に快適で、ミスのないクリーンな走行ができた。その結果、勝利を手にした」

―土曜日はほとんどのステージを勝利しました。何か熱い瞬間はありましたか?

ヌーヴィル:「特にない。小さなスライドがいくつかあっただけだ。マシンがリヤからスライドしているときは、自信が持てる。すべてをコントロールできているからだ。物事がうまくいっていて、快適に感じているときは、自分を止めるものはあまりない」

―今日は、最後のほうで恐怖の瞬間がありました。実際に何が起こったのですか?

ヌーヴィル:「文字通り、マシンの問題だ。僕たちは厳しく批判したが、これは今シーズン何度も直面している問題で、まだ解決していない。時にはマシンがスタートしないこともあった。運が良ければ、どこかの時点で再びエンジンがかかるかもしれないし、かからないかもしれない。そうなると、マシンを押していくしかない。幸い、今回はリグループからそれほど離れていなかったので、マルティンと僕はリグループまで(クルマを)押していくことができ、マーシャルの助けも得られた。多くのマーシャルが助けてくれたので、すぐにエンジンがかかった。パワーステージが始まる2、3キロ前に雨が降っていて、いたるところでアクアプレーニングが起きていることは知っていた。しかし、ステージ終盤の状況はわからなかった。最初の部分がドライであることはわかっていたので、湿り気が出てきてウェットになるまでは良いリズムで行こうと自分に言い聞かせた。結局フィーリングは良く、乾いてきたので、リスクを冒さず、きれいにスムーズに走ることができた」

―イープルでも優勝しました。今シーズン、なぜ勝利がもっと起こらなかったと考えていますか?

ヌーヴィル:「僕たちは11のイベントで7つの表彰台を獲得した。ポイントを獲得できなかったのは、僕がミスをした1回だけだ。ケニアでは技術的な問題が発生し、多くのポイントを失い、さらにセバスチャンに最大のポイントを与えてしまった。その時点で60ポイントの行方が変わってしまった。ギリシャではパワーステアリングに悩まされ、それがチャンピオンシップにおいては決定的だった。結局のところ、僕たちは重要なポイントを失った。しかし、僕たちはチームとしてプッシュし続け、コックピットではすべてを捧げている。マルテイン(・ウィダーゲ)は素晴らしい仕事をしてくれたし、グラベル・クルーも素晴らしかった」

―エルフィン、2位です。モンツァまでタイトル争いが続きますね。金曜日の朝、あなたは素晴らしいペースを見せました。しかし、その後、ペースが落ちてしまったようです。それはなぜですか?

エルフィン・エヴァンス:「正直なところ、明らかな変化は、路面のコンディションだったと思う。1回目の走行では、路面がとてもクリーンだったので、レーシングカーのような感覚で走れて、いいフィーリングを得ることができた。しかし残念ながら、午後になってグラベルが増えてくると、マシンがなかなか快適に感じられず、ステージ中盤に大きな瞬間もあり、すっかり自信を失ってしまった。その後、金曜日の午後にむけて発生した問題を回避する方法を考えてマシンを少しずつ改善したが、結果的にマシンのバランスを崩してしまい、アンダーステアが出てしまうようになった。そのせいで快適に走れなかった。僕にとっては悔しい週末になってしまった」

―タイトル争いは最終ラウンドのイタリアまでもつれ込んでいます。あなたの考えを聞かせてください。

エヴァンス:「僕たちはまだ生きているし、これは去年と似たような状況だ。立場は逆だけれどね。何が起こっても不思議ではないが、セブは賢いので、彼を追い越すにはかなり過激なことが必要になると思う。僕たちが何をしなければならないかははっきりしている。17ポイントの差はかなり大きいので、勝たなければならない。パワーステージも非常に重要になるだろう。最終的に僕たちがチャンピオンになるためには、セブのミスやトラブルが必要になってくる」

―ダニ、総合3位ということで、今日は思い切ったプッシュで、ステージウィンも獲得しました。充実した日曜日でしたね?

ダニ・ソルド:「今日についてはとても満足しているよ。週末を通してセバスチャンとは1秒、2秒を争う非常に接近した戦いになった。今日はただプッシュしながらクルマを走らせることを楽しんでいた。夜の闇のような最初のステージでは、少しタイムを縮めて前に出ることができた。そして、彼をそのまま抑え込むためにもう少しプッシュしようと思った、その後はとても感触が良かった」

―チームボスのアンドレア・アダモがあなたに、日曜日は前の人たちに追いつくよう、何度もお尻を叩いて発破をかけることになってしまったことを謝っていました。今日はその仕事をしましたか?

ソルド:「アンドレアのことはよく分かっているつもりだよ。彼がクレイジーな時もいい人である時もね。中身はすごくいい人なんだ。正直、彼は今週末はメッセージとして何も言っていない。今日になっていきなり、行け、行け、行けって言い始めたんだ。1日目はティエリーと同様、少しパフォーマンスを欠いていた。全然違っていた。初日、エルフィンは本当に速くて、別次元だった」

―コドライバーのカンディド(・カレーラ)との関係はどうですか?

ソルド:「次のラリーでは変わる予定になっているんだ(笑)。彼はアメイジングな仕事をしたよ。ナイトステージでは本当にうまくやっていた。彼は初めて経験そして初めてのポディウムを喜んでいたよ。すべてがどんどん良くなっている。彼は本当に一生懸命やってくれた。すごく良かったよ」

―アンドレア、2台のヒュンダイがポディウムを獲得し、2人のドライバーたちがそれぞれ50回目のポディアムを達成した今回の結果についてどう思いますか?

アンドレア・アダモ:「まだ戦いを終わらせない状態で戻ってくることが重要だった。闘志を持っていることが大切なんだ。最後の最後まで戦い抜くことに慣れていて、どんなチームにおいても戦える可能性を信じている、そんなチームであるということが重要だ。私はこれまでの何週間、この精神を目にしてきた。チームにプレッシャーを与えることはしたくなかった。ケーキの上のイチゴを食べるために私を必要とはしていない。私は彼の尻を叩いたわけではない。最後までトライしたんだ。もちろん、れば、たら、は言える。でもそれは敗者が使うもので、我々は敗者ではない。どこでミスをしたのかを確認して二度とそれが起こらないようにするだけだ。モンツァはこのクルマで走る最後のラリーになる」

(フロアからの質問)
―素晴らしい勝利でしたが、これはほろ苦い勝利でもあり、運が良ければタイトル争いに加われたかもしれなかったですね。

ヌーヴィル:「僕たちがもしケニアで勝っていたとしても、ここでは表彰台に上がらなかったかもしれない。僕たちはラリーごとに全力で取り組んでいる。もし、何かの理由で前のイベントがうまくいかなかったとしても、もしこうだったら、もしああだったら、とは言えない。自分が最大限の力を出し切ったと分かっている限り、それが重要だ。人生には運のいい人が必ずいるものだ。結局のところ、自分にできる限りの努力をすることだ。目標があって、ゴールがある。時には、それを達成することもある。少なくとも、僕たちは決してあきらめない」

―週末を振り返ってみていかがですか? 7ポイント以上獲得するべきだったのでしょうか?

エヴァンス:「正直なところ、もっと多くのポイントを獲得すべきだった。しかし、これが現実だ。理由はすでにいくつかわかっている。2位も良い結果だが、今週末のティエリーはとても強く、僕たちには彼に匹敵するスピードがなかった。モンツァに向けてより良い準備をして、優勝を狙えるようにしなければならない」

―今日は完璧な一日になったと思いますが、土曜日から何が変わりましたか?

ソルド:「土曜日はうまくやろうとしていた。僕の方からはそれほど大きな差ではなかった。オジエとの差は本当に小さなものだった。土曜日は、もう少しカットが多かったり、いくつかもっとスリッパリーだった場所があったかもしれない。このコンディションでは自信がもてなかったけど、今日はステージがもっとクリーンで、サーキットレースも増えていい感じだった」

―アンドレア、今週末のニル・ソランスとオリヴァー・ソルベルグについて、あなたの評価は?

アダモ:「2人とも我々が要求したことをやってくれた。ニルはコースについての知識があってそれが彼の役に立っている。あとはクルマのことを覚えて楽しむことができれば良かったし、オリヴァーは我々が言ったように、このラリーを走ったことのない彼には、ラリーを走りきって経験を積むということをしっかりとやり遂げてくれた。彼はよくやった。彼にとっては決して楽なシーズンではなかったかもしれないが、自信を得ることは彼にとって重要だった」

―今シーズン、ヒュンダイに信頼性の問題があったわけですが、新しいRally1カーではその点の改善が必要になりますか?

ヌーヴィル:「確実にそうだ、選手権を勝ち取るためには信頼性の高いクルマが必要で、これまでの2シーズン、僕たちはマニュファクチュアラータイトルを獲得してきた。今年はそれが不足している。ヒュンダイがリードした状態からリタイアするア場面を何度も見てきた。そこにはいくつかの理由があり、また時には理由もなくそうなってしまうこともあった。先にも言ったように、僕たちは顔を上げてプッシュし続ける。僕はさらに3年契約を結んでいるけど、新しいクルマがそれにふさわしいものになることを確信している」

―ラリーGBがWRCのカレンダーに含まれていないことを不満に思いますか?

エヴァンス:「イエス、それが答えだ。これはカレンダーとして大きな損失だ。ラリーGBのないのは、モンテカルロのない、あるいはラリー・フィンランドのないカレンダーと同じようなものだ。僕はウェールズ出身だから少し偏見があるかもしれないけどね。でも僕にとっては伝統的なイベントの1つだし、多くのドライバーたちが楽しんでいる。英国のモータースポーツ全般にとってもWRCにホームラウンドがあることは、これから上がってくる若い世代にとっても若者たちがこのスポーツに興味を持ってもらうための重要な鍵となる。本当に残念だ。僕のライバルの多くがホームラウンドがあって、勝利したり、あるいはそれに近づくことができたりしている。ティエリーもイープルでは本当に強かった。僕たちがウェールズですごく強かったかもしれない、とどうしても考えてしまう」

アンドレアス・ミケルセン:
―今夜は昔のチームメイトと飲んでお祝いをすることになりますか?

ヌーヴィル:「彼がWRC2王者になったことを祝福するよ。たぶん、イエスと答える以外の選択肢はないと思う!僕たちが戻ってきた時、最初に祝ってくれたのが彼だったからね。絶対いい場所を見つけるよ」