アレクセイ・ルクヤヌクは、ラリー・エストニアのWRC3で、最終ステージでマシンを横転させたにもかかわらず、ロシアンロケットの異名にふさわしい圧倒的なパフォーマンスで優勝を飾ることになった。
ルクヤヌクはいつもはサンテロック・ジュニアチームのシトロエンC3 Rally2でERCに出場しているが、エストニアではスポーツ・レーシング・テクノロジーズ(SRT)のシュコダ・ファビアRally2エボにマシンをスイッチして挑んでいる。
ルクヤヌクは木曜日の夜に行われたタルトゥでのステージでトップに立つと、金曜日と土曜日のすべてのステージでトップタイムをマーク、カイエタン・カイエタノヴィッチ(シュコダ・ファビアRally2エボ)に2分25秒のリードを築くことになった。
そして迎えた最終日、これほどまでのアドバンテージを築いているため、誰もがルクヤヌクのペースダウンを予想したが、そうはならなかった。オープニングSSで彼は19ステージ連続のベストタイムを奪い、SS20では2 番手タイムに終わったため完全勝利の夢は途絶えたが、その後も2回のトップタイムを記録し、最終ステージのタルトゥ・バルドを迎えることになった。
残されたわずか6.51kmのタルトゥ・バルドは、WRC3で3分36秒をリード、総合でも8位につけていたルクヤヌクのウイニングランとなるはずだったが、勝者を待ち受ける観客たちの前で彼は見事な転倒を喫してしまう。深く刻まれたわだちにフロントタイヤをとられてマシンは2度横転、マシンは大破してフロントバンパーは壊れてしまったものの、幸いなことにタイヤを接地した状態でマシンは着地したため、彼はラリーを走りきることに成功、カイエタノヴィッチに3分15.9秒差をつけて優勝を飾ることになった。
「クレストの先でわだちにはまって横転したんだ。でも、幸運にもタイヤを接地した状態で横転が収まった。クルマのなかは砂だらけで、僕は砂に埋まって見えなくなったスタートボタンがどこにあるのか、探すのに手間取ったが、なんとか再スタートができた。おかげでゴールまで到着することができた。このような状況にもかかわらず、素晴らしい週末だった。このようにマシンが壊れてしまったが、チームが僕を許してくれることを願っているよ」とルクヤヌクは語った。
選手権リーダーのヨアン・ロッセルがエストニアを欠場したため、2位でフィニッシュしたカイエタノヴィッチは、ランキングトップまで16ポイント差の2位へと浮上している。
ミッコ・ヘイッキラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)は、スペインの若手ぺぺ・ロペス(シュコダ・ファビアRally2エボ)の追撃から逃げ切り、アークティック・ラリー・フィンランドに続いて2度目の3位表彰台を獲得した。