WRC2021/07/23

ロヴァンペラ親子二世代にわたる初WRCウィナーに

(c)Toyota

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 カッレ・ロヴァンペラは、いまや次々と新しい記録を生み出す世界ラリー選手権の革命児になりつつある。彼は先週末のラリー・エストニアで、WRC史上最年少優勝記録を達成するとともに、親子二世代にわたっての初のWRCウィナーに輝いている。

 2008年のラリー・スウェーデンにおいて22歳313日でWRC初勝利を飾ったヤリ-マティ・ラトバラの記録は、先週末のラリー・エストニアで13年ぶりにロヴァンペラによって破られることになり、20歳290日という新記録が生まれた。

 また、ロヴァンペラは同時に、1973年にWRCが誕生して以来、初めての親子二世代にわたるWRCウィナーを達成することになった。彼の父ハリは、セアト、プジョー、三菱のファクトリーを渡り歩いた経歴をもち、苦労の末に34歳のときに2001年スウェディッシュ・ラリー(現在のラリー・スウェーデン)においてそのキャリア最初で最後のWRC勝利を飾っている。

 カッレは父が優勝を飾った日、まだ生まれてから133日しか経っていなかったが、その日から20年と157日後、ロヴァンペラ・ファミリーの勝利の物語は息子に受け継がれることになった。

 ロヴァンペラの父ハリは、先週の日曜日、ラリー・エストニアのポディウムで息子の帰還を待っていたが、ほとんど涙で言葉にならなかった。

「信じられないような週末になったよ。いつまでも泣いていて、正しく言えなくて申し訳ない。これまで4戦の悪いラリーが続いたので、勝利は素晴らしいタイミングでの勝利になった。(コロナウイルスが流行した昨年は)ラリーに出場できなかったことに多くの失望があったが、今シーズンの残りの期間はすべてが喜びに変わることを願っている」

 息子がラリー界のトップレベルの挑戦者になるまでの道のりをどのような気持で見守ってきたのかという質問に、ハリは「どうして心臓がまだ動いているのかわからないくらいハラハラしたし、今日は見ていてとても辛かった」と答えている。

 父とは対照的に、日曜日のカッレは緊張することなく、落ち着いた走りを見せ、ゴール後、その瞳はいつもより青く輝いていたが、初優勝に世界中が大騒ぎしているなかで彼だけがクールに受けとめているようだった。

「もちろん、とても嬉しいし、最高の気分だったよ」とカッレは語っている。「ようやく勝利を手にすることができたことに非常にホッとしたし、プレッシャーから少し解放されるのも感じた。でも感動の涙はなかったと思う。その役目は父がうまくやってくれたよ。僕にとってはこれまでラリーだけだったので、これからもラリーを続けていくだけだ」

 ロヴァンペラに次に期待されているのは、27歳109日(1995年RACラリー/ラリーGB)で史上最年少の世界チャンピオンに輝いたコリン・マクレーの記録更新だ。

■ロヴァンペラが達成したこれまでのレコード
最年少国内選手権チャンピン(ラトビア):16歳22日(2016年ラリー・ラトビア)
WRC最年少ポイント獲得:17歳49日(2017年ラリー・オーストラリア)
最年少FIA世界チャンピオン(FIA WRC2プロ):19歳7日(2019年ラリーGB)
WRC最年少ステージ勝利:19歳138日(2020年ラリー・スウェーデン:リケナス・ステージ)
WRC最年少表彰台:19歳138日(2020年ラリー・スウェーデン)
WRC最年少ラリーリーダー:19歳340日(2020年ラリー・エストニア)
WRC最年少選手権リーダー:20歳150日(2021年アークティック・ラリー・フィンランド)
WRC最年少優勝:20歳290日(2021年ラリー・エストニア)