WRC2020/09/24

ローブのメモリアルマシンが73万ユーロで落札

(c)PH Sport

 セバスチャン・ローブの思い出深いシトロエンDS 3 WRCが、先週日曜日にプジョー博物館のミュゼ・ド・ラヴァンチュール・プジョーで開催されたオークションで、73万ユーロ(およそ8960万円)で落札された。

 ミュゼ・ド・ラヴァンチュール・プジョーの展示車両が初めて出品された今回のオークションは、オークション業者のメゾン・アグットの協力の元で行われたもので、コロナウイルスの感染を防ぐために会場には150人のバイヤーしか参加しなかったが、オンラインと電話によって多数のコレクターがオークションに参加、ローブのDS3 WRCはオークション主催者の落札予想価格60万ユーロを大きく超える金額で落札されることになった。

 シトロエン・ファクトリーで17台目のDS3 WRCとして製作されたシャシーナンバーBN-404-MVをもつこのマシンは、2012年ラリー・モンテカルロでデビューウィンとともにWRC初登場、ローブは同年勝利した9戦のうち6戦でこのマシンで勝利を飾り、この年の母国フランスでの勝利で彼にとっての最後の王座となった9度目のドライバーズチャンピオンをこのマシンで決めている。

 ローブは翌2013年をもってラリードライバーを一時引退、フルシーズンの参戦を中止したが、4戦のWRCに出場し、モンテカルロでは通算7度目となる最多勝記録を達成したほか、彼にとっての最後のDS3 WRCでの勝利をアルゼンチンで飾っている。まさしくメモリアルマシンだ。

 この黒と金色の特別なカラーリングは、アルザスで行われた2013年のラリー・ド・フランスにおいてローブの栄誉を称えるためにわずか一戦だけのデザインとなり、彼のシトロエンで成し遂げた様々な記録がボディに散りばめられている。残念ながら、フランスではリタイアとなり、惜しくも母国ラウンドでの勝利はならなかった。

 BN-404-MVはローブ以外にもほかのドライバーが数戦で使用しており、2013年にはラリー・ドイッチュランドではダニエル・ソルドがキャリア初勝利をこのマシンで成し遂げ、2015年のラリー・アルゼンチンではクリス・ミークにキャリア初優勝をもたらしたほか、2016年のラリー・フィンランドではクレイグ・ブリーンが初の表彰台を達成するなど縁起のいいマシンとなっている。

 BN-404-MVが最後に使用されたのは2016年のラリーGBとなり、通算で32戦に出場して10勝を飾り勝率31%という記録を残して現役を引退、PHスポールが購入後、2017年に大規模なレストレーションとリビルド作業を行った際に、2013年のラリー・ド・フランスの特別なカラーリングに戻されている。