WRC2020/05/23

幻のTMGヤリスWRC2017テストカー初公開

(c)TOYOTA GAZOO Racing Europe

(c)TOYOTA GAZOO Racing Europe

 トヨタGAZOOレーシング・ヨーロッパ(以前のトヨタ・モータースポーツGmbH(TMG))は、ケルンのファクトリーに所蔵する歴代のラリーカーやルマン・カーのコレクションをウェブサイトで自由に観ることができるように360度のバーチャル・モータースポーツ博物館を公開した。

 展示車のなかには、トヨタがトヨタ・チーム・ヨーロッパとして1990年代にWRCを戦ったトヨタ・セリカGT-FOUR ST165やカローラWRCが公開されていることはもちろん、TMGがWRC復帰のためのテストベッドとして製作したヤリスWRCテストカーも公開されているが、注目したいのは右側の純白のテストカーだ。

 トヨタが2017年シーズンから世界ラリー選手権への復帰を発表したのは2015年1月にことだった。TMG製のヤリスWRCは、そうした決定が出る以前に当時のS2000ラリーカーをベースとしたWRカーのレギュレーションに沿ってTMGが実験車両として製作したもので、2014年からステファン・サラザンやテーム・スニネンらによってテストが繰り返し行われている。

 その後、トヨタのWRCプロジェクトはトミ・マキネンをチームディレクターとしてフィンランドのトミ・マキネン・レーシング(TMR)ベースに新しいヤリスWRCの開発が2015年からスタートすることになり、TMGはヤリスに搭載される1.6リッターターボ・エンジンの開発へ専念することになっている。

 これでTMGの実験車両であるヤリスWRCテストカーはその役目を終えたかに見えたが、引き続き2017年からの新規定に沿ったWRカーを製作してテスト走行を開始するとの謎めいた情報も囁かれていた。

 残念ながら、その後、このマシンがテストを行ったという目撃情報はないが、今回、トヨタGAZOOレーシング・ヨーロッパが公開したバーチャル博物館には、TMGが製作した2台のヤリスWRCテストカーが並んでおり、そのうち右側にある純白のボディのマシンに見られる大きなリヤウイングと飛びだしたフロントのリップスポイラーは、まぎれもなく2017年からの新しい技術規定による新世代WRカーのそれであり、幻だったヤリスWRC2017テストカーの存在が初めて明らかにされることになった。

 トヨタが2つのファクトリーで別々にヤリスWRCを製作していた理由についてTMGの関係者は、当時、次のように語っていた。

「TMGとして、2017年のWRカーに向けてテストマシンを自然な流れで進化させたものだ。全体のプログラムは、常に2017年のWRC復帰を目指しており、TMGはトヨタのためにエンジンを提供する責任がある。我々がヤリスでテストを行うのは、そのためだ」

 トヨタGAZOOレーシング・ヨーロッパによるモータースポーツ博物館の360度のバーチャルツアーはこちらから。
https://360grad-ansicht.com/virtualtour/Toyota-Motorsport/