WRC2020/05/21

英国でコクピットのソーシャルディスタンス問題

(c)Toyota

 世界各地でモータースポーツの再開にむけた取り組みが少しずつ始まっているが、英国では、ラリーについてはソーシャルディスタンスの観点からコドライバーを禁止するというガイドラインが示されたことから、競技の再開に重大な影響を及ぼすことが懸念されている。

 英国では新型コロナウイルスの流行を防ぐために3月から全土においてロックダウンが続いてきたが、政府は先週、今後数カ月にわたって段階的に規制を解除する方向を示している。

 英国のモータースポーツ統治機関であるモータースポーツUKは今週、こうした政府の発表を受けて、英国のモータースポーツを再開するためのガイドラインを発表したが、ラリーについては競技者のPCR検査の必要性と、ラリー後の社会的接触の減少の必要性について指示するほか、「ソーシャルディスタンスが尊重される必要のある間、車両の共有、乗客またはコドライバーの同乗が許可される可能性はほとんどない」と述べており、これは事実上、当面の間、コドライバーはドライバーと一緒にラリーカーのコクピットに座ることはできないことを意味している。

 ウェールズ・ラリーGBのクラーク・オブ・コースを務めるイアン・キャンベルはこのガイダンスが現在の一時的なもので10月29日から11月1日に予定されているウェールズ・ラリーGBへ重大な影響を及ぼすわけではない主張した。

「今計画できることの1つは、今後何が起こるかわからないということだ。ラリーGBは5か月後だ。これらの(パンデミックに関連する)ことがすべて過去10週の間に英国で起こったことを考えると、次の5か月では一体どうなるのだろうか」

「その頃の法律とガイダンスがどうなっているかはわからない。モータースポーツUKから提供された文書は、現在実施されているガイダンスと法律に基づいている。これは、絶え間なく見直されるが、ラリーGBに関しては、我々はどんどん進める」

 今年のラリーGBのルートは、先週、FIAおよびWRCプロモーターに提出され、5月26日にマニュファクチャラーチームに提示される。キャンベルは外的要因によって変更が加わる可能性が常にあることも認識しており、開催にむけて例年通りに計画は進むと述べている。

「FIAとWRCプロモーターは常に協力的だ」とキャンベルは付け加えた。「彼らは、我々全員がそうであるように、安全が確保されたらすぐにラリーを再開したいと考えている。我々は現在も彼らの計画とカレンダーの一部であることは間違いない」