ERC2020/11/10

3輪走行の疑いでソルベルグに抗議がだされる

(c)ERC

 ヨーロッパ・ラリー選手権のタイトル争いをしているオリヴァー・ソルベルグは、ラリー・ハンガリーの初日にパンクによってタイヤ1本を失ったために3輪でロードセクションを走行した疑いがあるとして複数の抗議が提出されたが、それらの抗議はスチュワードによって却下された。

 ラリー・ハンガリーの初日、選手権リーダーのアレクセイ・ルクヤヌクがタイムコントロールへの早着によって5分という致命的なペナルティを受けたことで、選手権の2位につけるソルベルグにとってはポイントを挽回する最大のチャンスが訪れることになった。しかし、彼は、土曜日の午後のループで2回のパンクに見舞われたために9位まで転落、それでもそのあと力強い追い上げをみせ、あとわずかのところで表彰台を逃して4位でフィニッシュした。

 だが、日曜日のゴール後、ソルベルグが前日に見舞われたパンクのあとのロードセクションを3輪で走行したとして抗議が出されることになる。最終ステージで2回目のパンクを喫した彼は、スペアを使い果たしたために最終ステージから土曜日最後のサービスまでの間、左リヤタイヤが完全にリム落ちした状態で走行した。

 ソルベルグは、ロードセクションでの作業のため安全に交換できるようになったらすぐに停止して損傷の少ないタイヤに交換したと主張しているが、ルクヤヌクを擁するサンテロック・ジュニアチームとERC1ジュニア選手権リーダーのグレゴワール・ムンスターは、FIAリージョナル・ラリー・スポーツ競技規則第34.1.5条の違反を主張して抗議の申し立てを行った。

「ロードセクションは公道であり、ステージ開始時には、競技車両は完全に回転する4つのホイールとタイヤで走行することができる必要がある。この条文に従わない車両は、第54条によりリタイアとみなされる。またスチュワードは追加のペナルティを課すことができる」と競技規則では規定されている。

 最終日以前にレグの最終ステージとその日の最終サービスの間にリタイアしたマシンは、その前のステージでリタイアしたとみなされるため、土曜日の夜にソルベルグがリタイアとなった場合、10分間のリスタートペナルティが適用される。

 ソルベルグのマシンはタイヤが3本しかない状態で走行していたが、一方で、双方の抗議そのものが、FIAインターナショナル・スポーツ・コード(ISC)に違反していると判断されたため、ラリー・スチュワードによって却下された。

「この抗議は複数の競技者が1人に対して出したものである」とスチュワードは述べ、サンテロックとムンステルが同じ違反行為に対して抗議を行ったことを却下した理由の一つとして説明している。ISCの第13.4.1条と第13.7.4条には、「複数の競技者が共同で申請した抗議は受理されない」と規定している。

 ムンスターの抗議が却下されたのはもう一つの理由があったためだ。彼のチームは抗議の提出が認められる時刻までに申請に必要な抗議料を支払っていなかった。

 ラリー・スチュワードによって抗議が却下されたことでソルベルグの4位が確定、彼はERCの総合タイトル争いではルクヤヌクに26ポイントの差をつけられ、ERC1ジュニアではムンスターに1ポイント差で首位を譲っている。