WRC2023/05/18

50kmのメガステージはなぜ誕生したのか

(c)Hyundai

 ラリー・イタリア・サルディニアは今年20周年の記念イベントとして6月1〜4日に開催される。ルートマネージャーを務めるティツィアーノ・シヴィエーロは、サルディニアを代表するステージであるモンテ・レルノを全長およそ50kmというメガステージとして復活させた秘密と舞台裏を明らかにした。

 ミキ・ビアジオンとともにかつて2度のワールドチャンピオンに輝いたことがあるシヴィエーロは、ラリー・イタリアがサンレモからサルディニアに開催地を移してから10回目の記念イベントとして行われた2014年にはモンテ・レルノを59.90km、全長およそ60kmの長さのモンスターステージとして成功させている。

 彼は、今年の20周年の記念イベントとしてモンテ・レルノを9年ぶりにロングバージョンで復活させることを思い立ち、今回は49.90km、全長およそ50kmのステージをルートに盛り込んだ。

 シヴィエーロは昨年の9月19日にエルバ島で交通事故に遭い、現在も治療中であるため、ラリー・イタリア・サルディニアのルートの作成にはリモートで取り組んでおり、6月のイベントに立ち会うことができるかどうかもまだはっきりはしていない。

 6月2日の金曜日の朝と午後のループともに最終ステージとなるモンテ・レルノのステージについて、治療施設で回復に努めるシヴィエーロが解説してくれた。

―ラリー・イタリア・サルディニアのルートはどのように準備されたのですか?

「アイデアが浮かんだのは、事故に遭う前の9月中旬だった、そしてそこから少しずつ洗練させていったんだ。ヴィットリオ・カルリーノとエドアルド・ディ・ラウロという、ルートに行ってステージを撮影するチームを立ち上げ、私はそれをもとにして選択していった。もちろん、実際に自分で現地に行くのとは違うかもしれないが、私は、ルチオ・デ・モリやアントニオ・トゥリットのような経験豊富な人たちに現地に行ってもらって、私の感覚を確認してもらいたかった」

―プロフェッショナルの好奇心を掻き立てる、50kmに延長されたモンテ・レルノ・ステージを含むチャレンジングなルートのアイデアはどのように生まれたのでしょうか?

「私は数年前からこのようなことをやりたいと考えていた。2014年に再びルートを担当するようになった時、60kmの長さにした。長くてチャレンジングなステージを作るのはどこか私のトレードマークとも言うべきかな。当時我々は、カリアリのステージと同様、インパクトを与えたいという思いからチャレンジとして提案したもので、ラリーの拠点をアルゲーロに移したのもそのためだった。今回は、モンテ・レルノ、モンティ・ディ・アラの最も美しいセクションをすべて盛り込み、アラ・デイ・サルディのアリーナでゴールを迎える形にして、観客が存分に楽しめるよう、ステージの最後の2kmをすべて見渡せるようにしたい、という思いからこのロングステージが誕生している」

―ミッキー・ジャンプとして知られる有名なジャンプはどこにあるのですか?

「ステージの真ん中にある。私の意図は、平均速度100kmのハイスピードステージを提供することだった。これは、特にジャンプのあとにある、低速コーナーがいくつかあることで平均速度が下げられることを考慮している。ドライバーたちにドライビングを楽しんでほしいと思ったので、ヴィットリオ・カルリーノには安全走行でありながらもレースをしているように走ることをお願いしてみたところ、彼から、すごく素晴らしい経験だったと言われ、私のフィーリングは間違いなかったんだということが確認できたよ」