WRC2019/07/29

DMACK巨額負債で破産申請、債権者にMスポーツも

(c)DMACK

 カーライルに本拠地を置くタイヤ会社のDMACKが1300万ポンド(約17億4560万円)を超える負債で破産申請をしたことが明らかになった。

 かつて世界ラリー選手権にもタイヤを供給していたDMACKは、ディック・コーマックが代表を務める。彼は今年の初めにイギリスでDMACKの販売活動を担っていたテクノロジー・サイノンUK Ltd(昨年12月にDMACKグローバルから社名変更)が破産し、カーライルに新しいタイヤ工場を建設する計画を廃止せざるを得なくなったと認めていた。

 テクノロジー・サイノンUK Ltdの管財人を務めるレオナルド・カーティスによれば、同社の過半数の株式をコーマックが所持しており、25 %をMEMWマネージメントLtdが保持しているとレポートしている。MEMWマネージメントLtdは、Mスポーツのマネージングディレクターを務めるウィルソン・ファミリーのプライベートカンパニーであり、マルコムと妻のエレイン、および息子のマシューの頭文字を会社名としたものだ。

 DMACKはモータースポーツ専門のタイヤ製造販売会社として2006年に設立され、当初は中国で生産されてきたが、2015年からカンブリア州のクーパー・タイヤと協力して英国で生産を行ってきた。また、DMACKは2011年から2017年までFIA世界ラリー選手権の2つの公認サプライヤーのうちの1つであり、Mスポーツと協力にもとでDMACKワールドラリーチームとして世界ラリー選手権に参戦、2017年のラリーGBにおいて初優勝を飾っている。しかし、2014年に経営的な問題が生じ、同社は中国で詐欺的行為の被害にあったと主張している。その結果、法的争いが発生し、在庫不足、注文のキャンセル、および高額な訴訟費用などによってビジネスに多大な損失が出た模様だ。

 DMACKの債権者リストには負債の合計が1305万2265ポンドに及ぶと記載されている。これにはドヴェンバイホールに本拠を置くMスポーツに対して720万ポンド、MEMWマネージメントLtdに対して150万ポンド、CCHオランダに対して100万ポンド、クーパータイヤに対して60万ポンド以上が含まれる。

 まだカーライルのすぐ外に住んでいるコーマックは、これがDMACKブランドの終わりではないと強調した。タイヤは今もイタリアの新しい拠点から生産されている。彼は先月カンバーランドニュースに次のように語った。

「我々はイタリアの工場に仕事を引き継ぎ、そこでタイヤを製造している。DMACK SRLの事業は、昨年末にそこに移転した。すべての法定手続を遵守し、会社とその取締役は、管理者の職務遂行を支援し続ける」