ERC2019/06/30

ERCポーランドはルクヤヌクが首位独走、新井は6位

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第4戦ラリー・ポーランドは、ERCチャンピオンのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)がトラブルにひやりとさせられながらも、土曜日に行われた8ステージのうち7ステージでトップタイムをマーク、ヒュンダイ・モータースポーツNのヤリ・フットゥネン(ヒュンダイi20 R5)に40秒もの大差を築いて初日をリードしている。

 ルクヤヌクは金曜日にオープニングステージとして行われたミコワイキ・アリーナのスーパーSSではフットゥネンから0.2秒差の2番手タイムでスタートしたが、土曜日の朝のパプロツキ・ステージから誰もが追いつけない速さをみせることになる。彼はSS2パプロツキ・ステージで後続のフットゥネンに6秒以上の差をつけるベストタイムを奪って首位に浮上するや、SS4オレッコ・ステージまで3連続のベストタイムであっという間に25.6秒ものリードを奪うことになる。

 しかし、彼はステージエンドでリヤダンパーのオイルが完全に抜けた状態だと明かしたものの、幸いにも朝のループに残されているのは、2.50kmのSS5ミコワイキ・アリーナのみだったため、彼はここで4.9秒を失うことになったものの21.6秒をリードしてミコワイキのサービスへと戻ることになった。

 ルクヤヌクはパプロツキ・ステージの2回目の走行となるSS6では右フロントタイヤをパンクしながらベストタイム、「新品のダンパーに変更したことでマシンのフィーリングが少し変わった」と慎重に走っていると明かしたものの、SS7ステアユヒ、SS8オレッコとさらに連続してトップタイムをマーク、最終的にフットゥネンに40秒差をつけてこの日をフィニッシュすることになった。

「多くのドラマがあった。(パンクのあと)ブレーキラインに問題があったり、クラッチにも問題を抱えてしまった。しかし、ダンパーの問題であまり多くのタイムを失わなかったのは幸運だったよ。SS8ではトラブルで遅れているクリス(・イングラム)のダストのなかを走って、おそらく5秒ほどをロスしているが、この路面で僕は楽しんで走ることができているよ」とルクヤヌクは語っている。

 フットゥネンは、朝からスリッパリーなステージでマシンのスライドに苦しみながらもすべてのロングステージでは安定して2番手タイムを刻むことになった。昨年のポーランドでは2位となっているため、明日は逆転優勝を狙って攻めるのか聞かれた彼は、「全然、楽しんでドライブできない。いまのグリップレベルではポジションをキープして行くだけだ」と厳しい表情を浮かべていた。

 チェコ共和国自動車クラブ(ACCR)がサポートするチェコ・ナショナルラリー・チームのフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアR5)は、金曜日夜のミコワイキ・アリーナでは7番手スタートだったが、そのあとはすべてのステージで3番手タイムを刻んで、フットゥネンから12.8秒遅れの総合3位で続くとともにERC1ジュニア・カテゴリーの首位をリードしている。

 マレシュから25.2秒差とやや引き離された4位にはシュコダ・ポーランドの若き才能、ミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアR5)が続いている。彼はこの日、行われたミコワイキ・アリーナの2回目の走行でトップタイムをマークしており、明日もこの舞台で安定したペースを見せて地元最速の座を守りたいと語っている。

 しかし、彼の背後には、選手権をリードするスポーツ・レーシング・テクノロジーズのウーカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)が2秒差に迫っている。ハバイは予選でのコースオフが響いて4番手という走行ポジションでルースグラベルに苦しめられながらも5位で続いており、「明日はまだ長い一日だ」と語り、ポディウムをめざして最終日もプッシュすると誓っていた。

 ERC1ジュニアの2戦目を迎えたチームSTARDの新井大輝(シトロエンC3 R5)は、SS1でのオフによる遅れを挽回すべく初めて走る高速ステージで力強いペースをみせて6位につけていたが、SS6でパンクに見舞われて8位まで順位を落とすことになる。それでも彼は終盤に速さを取り戻して6位までポジションを戻している。

 ERC1ジュニア選手権のポイントリーダーのクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)は不運なスタートとなっている。土曜日の最初のステージでオフしたあとダンパーやパンクとさまざまな問題が連続して発生、それでも9位から6位へと順位を上げたが、再びパワーステアリングを壊して無念の15位となっている。

 ERC2選手権はホアン-カルロス・アロンソ(三菱ランサーエボリューションX)がSS4以降リードしており、フィアット124 アバルトRGTによるアバルト・ラリーカップはイタリアのアンドレア・ヌチータがリードしている。

 また、ERC3ジュニア選手権ではエストニア・オートスポーツ連盟がサポートするケン・トルン(フォード・フィエスタR2T)が朝のループでトウモロコシ畑にオフするというハプニングを経験したものの、午後のループで追い上げてトップで初日を終えている。