WRC2021/04/28

FIA、2022年に向けたWRCハイブリッド計画は順調

(c)M-Sport

 ハイブリッドRally1カーはCOVID-19を原因とする開発の遅延やハイブリッドキットのリコールという問題が続いていることから2022年の世界ラリー選手権への投入を危惧する声があるが、FIAはすべて計画通りに進んでいると主張している。

 ドイツのコンパクト・ダイナミクス社が全マニュファクチャラーのハイブリッドキットを回収したことが報じられ、さらにはMスポーツがハイブリッドの投入が延期された場合、来年の世界ラリー選手権には参戦しないと警告するなどハイブリッドRally1カーへの懸念が生じているが、FIAは世界ラリー選手権のハイブリッド化に向けた作業が順調に進んでいると発表、Rally1カー開発の技術パートナーであるコンパクト・ダイナミクスとともに進めるハイブリッドキット開発のマイルストーンを示した。

 FIAは、ハイブリッドユニットの設計とプロトタイプ製造、プロトタイプユニットのベンチテストの実施、セーフティセルの設計に組み込むための初期ユニットの各チームへの提供、Rally1開発車両のダイナモテストや限定的プライベートテストに加えて、ターボチャージャー付きガソリンエンジンとハイブリッドユニットの同化の分析などを行なうことをプロジェクトの重要なマイルストーンとして挙げ、これらが2022年にむけた作業を加速することを約束している。

 FIAのラリーディレクターを務めるイヴ・マトンは火曜日に発表した声明の中で、現在の遅れを認めつつも、2022年に予定されているレギュレーション変更は非常に順調に進んでいると述べた。

「Rally1のハイブリッド計画は、ラリーの発展における重要なランドマークであり、持続可能性と先進技術に対するFIAの取り組みを明確にするものだ」とマトンは語った。

「もちろん、開発中の新製品には課題がつきものだ。現在のテスト段階では、FIA、マニュファクチャラー、技術パートナーの間に、強力な協力関係が存在している。我々はこの種の開発サイクルの代名詞ともいえるタスクを完了するために一丸となって取り組んでいる」

「2022年のシーズン開始まで残り8か月となり、現在、COVID-19パンデミックの影響で納期が遅れているためプロセスを加速しているが、順調に進んでいる」

 FIAは次のように声明を出している。「FIAは、WRCマニュファクチャラーのヒュンダイ、Mスポーツ・フォード、トヨタとともに、2022年のRally1ハイブリッドの導入に向けて全力で取り組んでいる」

「新技術と持続可能なエネルギーに向けたFIAの取り組みに沿って、次世代のトップカテゴリーのWRCカーは、最先端のプラグイン・ハイブリッドユニットを搭載する」
 
「FIAとマニュファクチャラーは、このプログラムに多額の投資を行っている。今回の3年契約には、持続可能性、コスト管理、安全性に重点を置いた革新的なハイブリッド技術の開発費用を分担することが含まれている」

「また、Rally1カテゴリでは、徹底的な分析と衝突試験プログラムを経てマニュファクチャラーと共同で開発された新しい設計のセーフティケージにより、安全面での大きなブレークスルーを実現する」