WRC2021/05/06

WRCは2022年から100%のサステナブル燃料へ

(c)FIA

 FIAは、2022年からハイブリッドによるRally1カーが導入されるのに伴い、来シーズンから世界ラリー選手権に100%のサステナブル燃料を導入する。

 ワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は、4月19日の電子投票により、P1レーシング・フューエルズを2022年からの3年間にわたってWRCにサステナブル燃料を独占供給するプロバイダーとして承認した。

 P1レーシング・フューエルズのパートナー企業と社内の専門家は、合成燃料のe-Fuelと第二世代バイオ燃料の成分をブレンドした、化石燃料を使わない炭化水素ベースの燃料の製造に取り組んできた。FIA世界選手権シリーズでこういった燃料が使用され、高性能エンジンの動力源となるのはこれが初めてのことだ。

 P1フューエルズチームは、深い技術的知識、研究開発への取り組み、そして30年に及ぶレース経験を結集し、複数のモータースポーツシリーズに最先端のパフォーマンス燃料を提供している。

 サステナブル燃料を提供するプロバイダーを選定する目的は、FIAとWRCプロモーターがRally1にハイブリッド技術を導入する際に、持続可能な原料を使用してCO2排出量を大幅に削減しながら、現行の燃料と同等の性能と可能な限り近い価格帯を持つ燃料を提供することだ。

 WRC委員会とFIAスポーツ部門が徹底的に分析した結果、P1レーシング・フューエルズは、以下の主要な要素において総合的に最も優れた提案をしていると評価された。
・提案された燃料に含まれる、FIA基準に準拠した持続可能な要素の割合
・既存のWRC技術仕様への燃料の「ドロップイン」の互換性
・競合他社に対する1リットルあたりのコスト
・技術力
今回の決定は、2020年11月に始まった持続可能なエネルギーの入札プロセスの最初の要素として確定したもので、サステナブル燃料、プラグインハイブリッド充電システムのブランド化、持続可能なエネルギーの生成と供給を対象としている。

 FIA会長のジャン・トッドは、次のように語った。

「FIAは、モータースポーツとモビリティを低炭素の未来へと導くことを強く約束する。Rally1にハイブリッド技術とともにサステナブル燃料を導入することで、2022年のFIA世界ラリー選手権は新時代に向けて大きな一歩を踏み出すことになる。環境は、FIAパーパス・ドリブンの重要な柱のひとつだ。エネルギーパートナーと共に、我々は最高の技術と環境性能を組み合わせていく」

 P1レーシング・フューエルズのCEOであるマーティン・ポピルカは、次のように語った。

「モータースポーツは、長い間、モビリティの未来を形作るイノベーションが生まれる場だ。だからこそ、P1フューエルズは、初の完全に再生可能な燃料をWRCの舞台に提供できることを特に誇りに思っている。P1フューエルズが独自に開発した燃料は、4年にわたる研究と革新の成果であり、レーステクノロジーの世界では初の試みであると同時に、持続可能なモビリティの未来の一部として、カーボンニュートラルなエンジンに向けた重要な一歩でもある」

「革新的で、持続可能で、コスト効率の高い燃料を大規模に提供することは、モータースポーツの世界だけでなく、自動車の世界にとってもエキサイティングなことであり、カーボンニュートラルなプロダクションカーの未来が現実に一歩近づいたことを意味している」

 WRCプロモーターのCEOを務めるヨナ・シーベルは次のように語った。

「サステナブル燃料を支える技術は急速に変化している。そのため、最良のソリューションを見つけるために多くの努力が注がれ、我々はその結果を誇りに思っている。先進的なバイオ燃料と革新的なe-Fuelコンポーネントの組み合わせを選択したことで、WRCは日常的なクルマを使った持続可能なモータースポーツの真のリーダーとなる。WRCは、この革新的な燃料を量産車で、実際の道路で、あらゆる状況下で開発し、検証するための非常に優れたプラットフォームだ。 WRCのステージでこの燃料を使用することで得られるものは、最終的には世界中の道路において利用者の利益になるだろう」