WRC2021/04/27

e-WRC王者のアームストロング、ジュニアWRC初優勝

(c)M-Sport

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 北アイルランド出身のトップeゲーマーでもあるジョン・アームストロングが、クロアチア・ラリーでFIAジュニアWRC初優勝を果たした。

 Mスポーツ・ポーランド製のフォード・フィエスタRally4のワンメイクで争われるジュニアWRC。その開幕戦が先週末のクロアチア・ラリーで行われている。

 オープニングステージではルーマニアのラウル・バディウがベストタイムで先行したものの、素晴らしいタイムを出してSS2で首位に立つことになったのはジュニアWRCで3シーズン目を迎えるサミ・パヤリだ。しかし、パヤリはSS3で横転したため2分をロスしてしまい、2度のスロバキア・チャンピオンのマルティン・コチが首位へと浮上することになった。

 Rally2マシンからRally4マシンへステップバックして、あえてジュニアWRCのシーズンを戦うことを選んだコチは、AKKフライングフィン・フューチャースター・アワードを受賞し、今季のジュニアWRC選手権への出場資格を獲得しているラウリ・ヨーナに21.5秒差をつけて初日をトップで終えることになった。

 だが、リードを維持していたコチは土曜日午後のストイドラガ〜ゴルニャヴァスで痛恨のパンク、4位へと後退してしまう。この長く、千のコーナーをもつとも称されるステージで驚異的なタイムを奪ったのはそれまで3位につけていたアームストロングだ。

 アームストロングは初日からこれまでヨーナと4度順位を入れ替える接戦を演じてきたが、ここでは14秒も引き離して首位に躍り出すや、さらにペースをアップしてその差を22.5秒へと引き離して土曜日を終えることになった。

 アームストロングは最終日も自信に満ちたペースを刻み、ジュニアWRC初勝利でシーズンをスタートすることになった。

「本当に素晴らしかった。最近はあまり実際のラリーカーに乗っていなかったので、ジュニアWRCに復帰して最初のイベントで優勝できたのは夢のようだよ」と26歳のアームストロングは語った。彼は2年前のe-WRCチャンピオンであり、ラリーゲームのDiRT Rallyで知られるコードマスターズのサポートを受けてシリーズに出場するeゲーマーでもある。

「次戦のポルトガルでも楽しみだよ。過去に2輪駆動マシンでグラベルを走ったときには良いペースで走れたが、この選手権には非常に速いドライバーがいますから、簡単にはいかないだろうけどね」と彼は付け加えている。

 昨年のランキング2位のマルティンス・セスクスは、インカムとブレーキのトラブルを乗り越えて最終日にヨーナを逆転、アームストロングから33.5秒差の2位でゴールした。ヨーナは15.3秒差でトップ3に入っている。

 土曜日のパンクで遅れたコチが4位、アイルランドのウィリアム・クレイトンがパワーステージで2番手のタイムを出し、コチから49.4秒差の5位でフィニッシュした。また、初日に横転したあと9回のステージ優勝を果たしたパヤリは失った時間を取り戻すことはできずに6位に終わっている。

 7位にはエストニアのロバート・ヴィルブス、8位にはルーマニアのラウル・バディウが入っている。バディウは、初日のターボトラブル、トリッキーなコンディションとなった土曜日にクラッシュしたあと日曜日に再スタートしたが、5つのベストタイムを奪う速さをみせている。